(※写真はイメージです/PIXTA)

融資を受ける最大のチャンスは「創業前」です。ただし、金融機関の融資に対する本音は、「貸したら返してくれる人に貸したい」というものです。その「返してくれるのか」の基準は、自己資金と経験値、そして信用情報。ここでは創業融資の審査の決め手となる「自己資金」と「経験値」について、注意するべきポイントを見ていきましょう。

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自己資金額の目安は「融資額の10分の1程度」

まず、自己資金はいくらあればいいのか。創業支援に力を入れている公庫の「新創業融資制度」では、融資の上限として「自己資金の9倍」と謳われていますが、実際には2~5倍程度が目安となります。

 

もう一つの制度「中小企業経営力強化資金」には、自己資金の要件はありません。だからといって自己資金がゼロでは融資を受けることはまず難しいといえます。

 

自己資金は多いに越したことはありませんが、高額ならば無条件にOKというわけではありません。数十万円の自己資金でも融資に成功している人もいれば、数百万円の自己資金を用意しても融資に失敗している場合もあるのです。

 

その詳細に関しては、追い追い解説していきますが、一ついえるのは自己資金だけで融資の審査が決まるのではなく、経験値やビジネスプラン、そのほか、熱意などの掛け合わせで判断されるということです。また、額の多寡だけでなく、入手ルートも大事な要素です。

 

貯めておくべき額の目安を挙げるならば、先の「新創業融資制度」では創業資金10分の1以上の額が要件となっています。1000万円借りるとして、最低でも100万円程度は頑張って貯めておきましょう。

アルバイトでもいい…業界経験を積むと融資審査が有利

経験値については、これから始める事業に関して経験値があるかが問われます。

 

まったくの未経験ならば、アルバイトでいいので最低でも半年~1年ほどの経験を積んでから申込みをするのが、融資を成功させるポイントです。

 

経験値で高評価を得るためには、6年以上の経験値が欲しいところですが、さすがにそこまで時間をかけられないという方は、最低でも半年~1年程度は、経験を積んだほうが融資を受けやすいです。もちろん経験は長ければ長いだけ評価が高くなるということも覚えておきましょう。

 

花屋を開きたいのであれば、花屋でのアルバイト。焼肉屋を開きたいのであれば、焼肉屋でのアルバイト。どんなに本やネットで情報を得ても、実際に働かなくては分からないことも多くあります。

 

将来的にビジネスを成功させるためにも、独立前に同業他社で働き、業界の知識や経営ノウハウをしっかり吸収し、融資の面談の際にきちんとアピールすることが肝心です。

次ページ自己資金は、金額よりも「中身」が重要

※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

資金調達のノウハウが知りたい経営者、必読!  起業の喜びも束の間、会社の存続をかけ資金繰りに頭を悩ます日々…。創業から1年以内に約3割の企業が廃業するといわれているなか、生き残るために必要な融資の知識とその活用…

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