生産緑地の指定を受けるメリット
生産緑地の指定を受けると、地主には次のようなメリットがあります。
固定資産税が軽減される
三大都市圏特定市の市街化区域では、農地であっても宅地並みの高い評価で固定資産税が課されることが原則です。生産緑地の指定を受けることで、固定資産上の計算上、その土地を農地として低く評価してもらうことができます。
固定資産税はその土地の評価額に税率を乗じて算定されるため、評価額が低いほど固定資産税は安くなるのです。
なお、市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として都市計画法で指定されている区域です。住宅やビルなどの建物が多く立ち並んでいる地域をイメージすると良いでしょう。
相続税が猶予される
農業を営んでいた被相続人が死亡し、相続人が農地を相続により取得した場合、生産緑地の指定を受けて農業を続けている間は、その土地にかかる相続税の納税が猶予されます。さらに、その後、農業を引き継いだ相続人も亡くなった際には、猶予されていた相続税は免除され、支払う必要がなくなるのです。
例えば、農業を営んでいた父の死亡に係る相続税の納税が猶予され、その後農業を引き継いだ子も死亡した際には、猶予されていた父の死亡に係る相続税は免除されます。また、農業を引き継いだ子の死亡にかかる相続税について、新たに納税猶予を受けることが可能です。つまり、生産緑地の指定を受けて農業を継続している限りは、その土地についての相続税を支払う必要がないということです。
生産緑地指定の要件
生産緑地の指定を受けるための要件は、次のとおりです。
・市街化区域内の農地であること
・500m2以上(市町村によっては300m2以上)の一団の農地であること
・良好な生活環境の確保に効用があり、かつ、公共施設等の敷地として適していること
・用排水その他の状況から見て農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること
こうした要件を定めた土地にについて、利害関係人の同意のもと、市町村は、都市計画に生産緑地地区を定めることができます。生産緑地に指定された農地には、生産緑地である旨の標識が設置され、農地としての管理が義務化されます。
生産緑地はどの地域に存在する?
生産緑地は、関東・中部・近畿の三大都市圏を中心に存在しています。国土交通省の調査によれば、令和2年3月末日時点で北海道や東北、中国、沖縄地方には、生産緑地はありません。
また、北陸、四国、九州地方にある生産緑地はごくわずかです。つまり、これらの地域に2022年問題の影響はほとんどないと考えて良いでしょう。
生産緑地の面積はどれくらい?
生産緑地は、令和2年3月末日時点で全国に12,332.3ヘクタール存在します。この内訳は、
関東圏:7,075ヘクタール
中部圏:1,418.9ヘクタール
近畿圏:3,825.6ヘクタール
です。2022年に最大でこの8割の広さの生産緑地が宅地となり、一気に市場に供給される可能性があります。
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