(写真はイメージです/PIXTA)

時代とともに新たな種類のハラスメントを耳にすることが増えてきています。本記事では、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の弁護士の西尾公伸氏が、カスタマーハラスメント(カスハラ)について解説します。

カスタマーハラスメントと正当なクレームの違い

実際に顧客等からの迷惑行為があったとしても、それがカスタマーハラスメントといえるのか、それとも正当なクレームの範疇なのか迷う場面があるかもしれません。例えば、会社自身に落ち度がある場合などは、度を超えたクレームだったとしても正当な理由によるものと考えて、毅然とした対応をとることができない場面も予想されます。

 

このように、カスタマーハラスメントと正当なクレームとの違いを判断することは難しいですが、パワハラと同様に考えることで判断しやすくなるかもしれません。

 

パワハラに該当するかどうかの判断の際には、その行為が「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」かどうか、すなわち①必要なものか、②相当な範囲を超えたか、という点がポイントとなります。

 

これをカスタマーハラスメントに応用するとすれば、①顧客等の行為が会社の商品の不具合、サービスの問題、会社の落ち度等を伝えるための必要な苦情か、②その態様が苦情を伝えるための方法として相当な範囲のものかどうか、という点を目安に考えることになります。

 

例えば、商品に問題があると言って商品の返品を求めてきたものの、商品を確認したら何ら問題がなかったとなれば、それは必要な苦情とはいえないでしょう。また、仮に商品に問題があったとしても、それを理由に何時間も従業員を拘束する、大声で罵倒する等の行為があった場合には、それは相当な範囲を超えたものといえます。

 

このように、カスタマーハラスメントと正当なクレームとの判断は難しい場合もありますが、上記の2点を参考に整理すると判断しやすくなるでしょう。

 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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