「時代変化に適応できるリーダーシップ」が必要
実は近年コロナ禍の前から、チームパフォーマンスを向上させて高い業績を実現してきたのは「自律型・支援型」のリーダーでした。その理由は、時代が大きく変化したことが挙げられます。
現代は「先行きが不透明で将来の予測が困難な時代」を意味する「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれます。VUCAとは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字をとった造語です。インターネットやスマートフォンなど技術革新が頻繁に起こること(変動性)、激化する自然災害やコロナ禍(不確実性)、各国で変化や変革が起こり複雑化が加速する国際情勢(複雑性)、価値観の多様化(曖昧性)などがその一例です。
時代に適応するためには、企業はビジネスモデルやサービスを柔軟に変化させなければなりません。うまく時流に乗れなければ、かつて大成功した企業でも優位性を保ち続けることが難しくなります。
日本でも時代の変化に伴って、2019年から働き方改革関連法が施行されています。厚生労働省が求めている大項目だけでも長時間労働是正、同一労働同一賃金、テレワークや副業がしやすい環境整備、ダイバーシティの推進、賃金引き上げ・労働生産性向上、再就職支援・人材育成、ハラスメント防止と多岐にわたっています。
また個人のレベルでも、継続雇用の伸長によって自分よりベテランの人材を部下にもつことになったり、会社のデジタル化に対応できる能力を身につけたり、多様化する社会のニーズに応えるサービスを提案したりと多くの変化への対応が必要です。
VUCAの時代性は今後もますます強まっていくことが予想されています。確実にいえるのは、これからは成功した前例を踏襲するよりも現状を分析しながら新しいやり方を生み出さなければならないということです。
そうなると、指示・管理型のリーダーが以前のような信頼感を維持するのは難しくなってきます。彼らは経験から直面している課題のパターンを読み取り、そのパターンに対応する解決策を見つけだしてきました。しかし未経験のことに対してはリーダーシップを発揮することが難しいのです。
独自の調査では、チームパフォーマンスを最大限に発揮できている組織はわずか30%に過ぎませんでした。悪くはないが良くもないというチームがとても多くなっているのです。
これは「なんだかチームがうまくいっていない気がする」という不安を多くのリーダーが抱えていることを示しています。従来のやり方が徐々に時代に置き去りにされていることに気づけず、漠然とチーム状態の悪さを感じながらもどうしていいか分かっていないのです。それなのに会社からはチームをまとめ成果を上げることを期待され、部下からは良い上司であることを求められる、まさにリーダー受難の時代といえます。
橋本 竜也
株式会社日本経営 取締役
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