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「幕張ベイタウン」は成功か、失敗か?
東京という街が今後も膨張を続けていくのなら、埋立地も重要な役割を果たすようになるはずだ。
しかし、今の東京は「いかに上手に収縮するか」というミッションが与えられた街なのだ。この私の仮説が正しければ、有明エリアは「時代に取り残された土地」ということになる。あの街に林立するタワマンは、それこそ2050年頃は立ち枯れ状態となっている可能性さえある。非常に残念でもったいない話である。
そもそも、ああいった街を「タワマンの林立する街」という方向で、金儲け至上主義のマンションデベロッパーに切り売りし、デタラメな開発を許したのが間違いではなかったのか。
都心に近い場所であれだけの面積があるのだから、タワマンのような歪(いびつ)な住形態は避けて、ゆったりとした街づくりができたはずである。その点、東京都の街づくりはいかにもセンスがなかったと思う。
人間がゼロから作り上げた街として比較的うまくいった例は、千葉県の幕張新都心ではないかと以前の私は考えていた。駅を出てやたらと歩かされるのは有明などと同じだが、住エリアである幕張ベイタウンは、それなりに味わいのある街並みを形成した。
ただ、この街の弱点はいろいろな点で「遠い」ことである。
まず、東京から遠い。JRの京葉線は東京駅に直接乗り入れてはいる。しかし、山手線に乗り換えるのなら、駅名も路線も違う東京メトロ東西線の「大手町」駅からのほうが近くて早そうである。
京葉線を使って都心へアクセスするのなら、「新木場」駅で有楽町線の始発に乗り換えるか、「八丁堀」駅での東京メトロ日比谷線への乗り換えが現実的である。この両線とも、丸の内や大手町近辺に駅がない。新宿や渋谷へも直接乗り入れていない。
つまり、京葉線はいかにも使い勝手が悪いのだ。
また幕張ベイタウンは、最寄り駅のJR京葉線「海浜幕張」駅からも遠い。近いところで徒歩13分前後、遠いと20分以上を要する。その距離を毎日歩いて往復するのは、ちょっとリアリティがない。
そこに2011年3月11日に発生した東日本大震災は、「海浜幕張」駅付近に激しい液状化現象をもたらした。
その直後から、幕張ベイタウンの中古マンション価格が急落。一時は85㎡前後の住戸が、2000万円未満で取引される状態にまで中古価格が下がった。その後いくぶん回復はしたが、中古マンション価格の急落は、人々の記憶に鮮明に残ったはずだ。もはや海浜幕張は「人気の街」とは呼べなくなったのではないかと思う。
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