「東京ベイエリアのタワマン」が抱える価格暴落リスク

東京への人口一極集中が続く日本では、埋立地なども活用されタワーマンションが林立しています。しかし、幕張や有明といった「ニュータウン的都市開発」によって建てられたタワーマンションは、価格暴落リスクを抱えていると、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいいます。それはなぜか、詳しくみていきましょう。

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「幕張ベイタウン」は成功か、失敗か?

東京という街が今後も膨張を続けていくのなら、埋立地も重要な役割を果たすようになるはずだ。

 

しかし、今の東京は「いかに上手に収縮するか」というミッションが与えられた街なのだ。この私の仮説が正しければ、有明エリアは「時代に取り残された土地」ということになる。あの街に林立するタワマンは、それこそ2050年頃は立ち枯れ状態となっている可能性さえある。非常に残念でもったいない話である。

 

そもそも、ああいった街を「タワマンの林立する街」という方向で、金儲け至上主義のマンションデベロッパーに切り売りし、デタラメな開発を許したのが間違いではなかったのか。

 

都心に近い場所であれだけの面積があるのだから、タワマンのような歪(いびつ)な住形態は避けて、ゆったりとした街づくりができたはずである。その点、東京都の街づくりはいかにもセンスがなかったと思う。

 

人間がゼロから作り上げた街として比較的うまくいった例は、千葉県の幕張新都心ではないかと以前の私は考えていた。駅を出てやたらと歩かされるのは有明などと同じだが、住エリアである幕張ベイタウンは、それなりに味わいのある街並みを形成した。

 

ただ、この街の弱点はいろいろな点で「遠い」ことである。

 

まず、東京から遠い。JRの京葉線は東京駅に直接乗り入れてはいる。しかし、山手線に乗り換えるのなら、駅名も路線も違う東京メトロ東西線の「大手町」駅からのほうが近くて早そうである。

 

京葉線を使って都心へアクセスするのなら、「新木場」駅で有楽町線の始発に乗り換えるか、「八丁堀」駅での東京メトロ日比谷線への乗り換えが現実的である。この両線とも、丸の内や大手町近辺に駅がない。新宿や渋谷へも直接乗り入れていない。

 

つまり、京葉線はいかにも使い勝手が悪いのだ。

 

また幕張ベイタウンは、最寄り駅のJR京葉線「海浜幕張」駅からも遠い。近いところで徒歩13分前後、遠いと20分以上を要する。その距離を毎日歩いて往復するのは、ちょっとリアリティがない。

 

そこに2011年3月11日に発生した東日本大震災は、「海浜幕張」駅付近に激しい液状化現象をもたらした。

 

その直後から、幕張ベイタウンの中古マンション価格が急落。一時は85㎡前後の住戸が、2000万円未満で取引される状態にまで中古価格が下がった。その後いくぶん回復はしたが、中古マンション価格の急落は、人々の記憶に鮮明に残ったはずだ。もはや海浜幕張は「人気の街」とは呼べなくなったのではないかと思う。

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住宅ジャーナリスト

1962年、京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒。1980年代後半から30年以上、マンションの広告・販売戦略立案に携わる。その経験を生かし、購入者側の視点に立ちながら、日々取材を重ねている。著書に『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)、『マンション格差』(講談社現代新書)、『すべのマンションは廃墟になる』(イースト新書)などがある。

著者紹介

連載人気住宅ジャーナリストが分析!土地・不動産価値の観点からみる「未来の東京」

※本連載は、榊淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

ようこそ、2050年の東京へ

ようこそ、2050年の東京へ

榊 淳司

イースト・プレス

東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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