全国各地で増加する空き家やシャッター商店街……世界有数の人口密度を誇る東京においても、こうした「負」動産が問題となっています。そこで、増え続ける「負」動産から東京の街を救うべく、積極的な「地上げ」が必要だと、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいいます。その理由をみていきましょう。

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「地上げ」は街の再生に役立つ、という現実

多くの旧店舗が一筆の不動産としてはサイズが小さすぎる。単体ではどうにも活用しにくいのだ。

 

お隣さん同士など、せめて3、4軒がまとまれば、1階にクリニックやデイサービスなどのテナントを誘致して、2階以上は分譲や賃貸のマンションにするといった活用方法も考えられる。

 

その「3、4軒をまとめる」という地上げが、今の法制度では何ともやりにくい状況である。個人の権利を守りすぎているのだ。1人の頑固な所有者が、「ウチは何があっても売らない」とがんばれば、どうしようもなくなってしまうのだ。

 

百歩譲って、そこの所有者が生きている間は住んでもらうことにしてもいい。しかし、相続が発生して誰も住まなくなったら、それこそ放置しておくのは無駄でしかない。そういう場合には、相続した人が積極的に手放すシステムを作ったらどうか。

 

例えば、「空家税」のようなものが発生するようにすればどうだろう。何も活用しないで保有しているだけなら、相当のコストがかかるようにするのだ。そうすれば相続した人は、自然にその不動産を手放そうという気持ちになる。

 

このような制度的な改革がないと、2050年の東京の近郊から郊外にかけてのシャッター化した旧商店街は、かなり無残な姿を晒すことになる。そうした未来は、何としても避けるべきではないか。問題がさらに深刻化しないうちに制度改革の道筋を付けるのが、2020年の東京に生きる我々の義務だと思うのだが……。

 

近郊に限らず、東京という街が今後その風景の美しさや整然とした輝きを維持できるか否かは、やはり「地上げ」がキーワードになる。

「土地神話」は30年も前に崩壊している

日本人は土地に対する執着が強い。一度手に入れた土地は売りたがらない。特に先祖伝来の土地であったりするとなおさらだ。そうした日本人の土地に対する執着の基盤になってきたのは、「土地は値下がりしない」という土地神話だった。

 

しかし、土地神話はもう30年も前に崩壊している。今はその亡霊が漂っているに過ぎない。ただ、そのことに納得している人が少ないのも事実だ。

 

不動産の資産評価は、基本的に利用価値に立脚していることを忘れてはならない。使って何かの収益を生み出したり、そこに人が住んだり、あるいは倉庫などとして利用したりすることで価値が見いだせるのだ。

 

利用できない不動産は無価値であるばかりか、保有しているだけでコストが生じる「負」動産である。誰も住んでいないし、ましてや何十年も前から営業していない旧店舗は、まさに負動産である。

 

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    ※本連載は、榊 淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

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    東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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