東京への人口一極集中が続く日本では、埋立地なども活用されタワーマンションが林立しています。しかし、幕張や有明といった「ニュータウン的都市開発」によって建てられたタワーマンションは、価格暴落リスクを抱えていると、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいいます。それはなぜか、詳しくみていきましょう。

ニュータウン的な開発は「負の遺産」を増やすだけ

海浜幕張のようなニュータウン的都市開発というのは、立地に無理がある場合が多い。開発から20年、30年と経過すると、その脆弱性がハッキリと浮かび上がってくる。そうしたニュータウンは結局、その街に30年以上住み続ける人を幸せにはしてくれないのではないか。

 

それにもかかわらず、未だにニュータウン型の開発はあとを絶たない。例えば幕張ベイタウンと同じく、「海浜幕張」駅から徒歩15分以上離れた場所で、同じような開発が行われている。ベイタウンとは線路を挟んだ北側である。

 

こうした開発は、中長期的な視点に立てば、未来へ残してしまう大きな負債を建設しているようなものである。なるべく避けるべきなのだが、「土地があるから」という何とも惰性的な理由で始めてしまっているように思える。

 

東京の有明エリアも、放っておけばこういう惰性でダラダラと開発が進むように思う。本格的な開発が始まるまで戦後の約60年間、ほとんど忘れられていたのにはそれなりの理由があるにもかかわらずだ。

 

それは何といっても都心から遠いからである。アクセスしようにも、公共的な交通機関はほとんどなかった。そこに使い勝手の悪い「ゆりかもめ」という都市交通システムが新たに出来たからといって、惰性での開発を進めてしまったのが現状である。

 

千葉県の海浜幕張にしろ、東京都の江東区有明にしろ、2050年には再び「忘れられたエリア」になっている可能性が高い。もちろん、そこにあるマンションの資産価値は今よりもかなり低めに評価されていることだろう。

 

さらにタワマンは、先に述べた理由で廃墟化の危機を迎えてさえいる。それを考えれば、これ以上の開発を続けるのは負の遺産を増やすだけである。途中ででも、止められるのなら止めるべきだろう。

 

少なくとも、そういったエリアで長期の住宅ローンを組んでのタワマン購入は、かなりリスクが高い、と申し上げておく。

 

 

榊 淳司
住宅ジャーナリスト

 

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※本連載は、榊淳司氏の著書『ようこそ、2050年の東京へ』から一部を抜粋・再編集したものです。

ようこそ、2050年の東京へ

ようこそ、2050年の東京へ

榊 淳司

イースト・プレス

東京にとって1960年から90年は、「高度経済成長」による拡大・発展の30年間だった。それから現在までは「失われた20年」を経て、停滞する30年間を過ごした。では、成長を期待できない日本において、首都・東京が歩むこれからの…

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