近年、活発に行われている駅前の再開発。何ができるかとワクワクしていると、商業施設とタワーマンションが一緒になった複合施設が誕生……というのは、最近のお決まりのパターンになっています。「住むには文句なし」といった印象を受けがちなタワマンですが、人が生活する以上、実際の暮らしにはやはりトラブルも起こります。そこで本記事では、外部の人間が知り得ない「タワマンの実情」を住民への取材で明らかにしていきます。北海道在住の60代夫婦を襲った悲劇とは?
終の棲家に「タワマン」を買う金持ち高齢者が直面する、悲惨な事態 ※画像はイメージです/PIXTA

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地方のタワマンに住む高齢者夫婦を襲った、思わぬ事態

タワーマンションの最上階に4年前に引越してきたという、北海道在住の60代夫婦。20代のとき、30年ローンで購入した一戸建てを売却、終の棲家としてタワマンを購入しました。

 

――この辺りは冬になると結構雪が結構降るから、毎日、雪かきで大変なんですよ。年をとると、戸建てを維持するのも大変なので、マンションを探していたんです。

 

生まれてからずっと戸建て住まいだったという老夫婦。初めてのマンション暮らしを決意するも、すぐ隣に誰かが住んでいる、という状態に馴染めるか不安を感じていました。そんなときに耳にしたのが、駅前にできる高層マンション。その最上階であれば、戸数は限られているから馴染めるのでは、と考え、購入を決めたのです。

 

――タワーマンション!? 東京なんかのものと比べたら、こんな高さでタワーマンションというのもおこがましいけど。親戚には「タワマンに引越すんだー」と、ちょっと自慢しましたね。

 

高い建物があまりない地方都市。やはり、タワーマンション最上階からの眺望は格別だといいます。

 

――遠くに山が見えるでしょ。秋になると赤くなって、冬になったら真っ白になって。駅前ですけど、意外と四季の移ろいを感じられるんですよ。このマンションで気にっているところです。

 

そう話す老夫婦ですが、引越ししてから1年ほど経った2018年9月6日、北海道胆振地方中東部を震央とする巨大地震が襲います。老夫婦が住むのは高層階でしたが、想像よりも揺れは小さかったと話します。「さすが、最近の建物はスゴイね」と振り返りますが、大変だったのは地震がおさまった後のこと。北海道全域が電力が止まります。いわゆる「ブラックアウト」です。

 

――大変だったよ。2日と、ちょっとくらいかな。電気がまったくつかなくて。エレベーターが使えないから、階段でのぼるしかないんだけど……とても休み休みじゃないと、家まで辿りつかないんだもの。

 

またポンプで水道を高層階までくみ上げているため、電気が止まれば水道もストップ。電気が回復するまでの間、重たいペットボトルを持って、階段を上り下りしたといいます。

 

――地震の少ない地域で、こんな目にあうなんて、思っても見なかったよ。こんな高齢者、タワマンなんて住むもんじゃないね。

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