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「起業型確定拠出年金」拠出タイプはどう生まれたか
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【企業型確定拠出年金の「拠出設計」4つのタイプ】
①標準タイプ
従業員に支払っている給与とは「別枠」で確定拠出年金の掛金を設定する方式。現行の給与制度はそのまま維持して、そこに企業型確定拠出年金を「上乗せ」するイメージ。
②選択制
従業員給与の一部を「生涯設計手当」等の手当金に変更し、そのうちの任意の金額を確定拠出年金の掛金として拠出するか、それとも「前払い退職金」として、給与とともに受け取るかを、従業員が個々に選択できる方式。
③混合タイプ
標準タイプと選択制とを組み合わせて確定拠出年金の掛金を設定する方式。掛金の一部は、給与とは別枠で企業が負担し、そのうえで、給与の一部を手当に移行し、その手当のうちいくらを確定拠出年金の掛金とするのかについては、加入者である従業員等が決定する。
④マッチング拠出
企業が負担する事業主掛金に加え、従業員が給与から任意の掛金を拠出する方式。
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企業型確定拠出年金を実際に運営・管理するのは「運営管理機関」と呼ばれる金融機関です。そして、運営管理機関によっては、4タイプのうち、「選択制」を必ずしも扱っていません。というより、実際には選択制を扱っている運営管理機関のほうが少数派なのです。
それには、次のような事情があります。
そもそも、企業型確定拠出年金は、ここでいう「標準タイプ」の拠出設計で考えられていました。そこにあとからマッチング拠出という方法が加えられます。いずれにしても、会社が事業主掛金を負担して拠出をすることが基本形として考えられていたのです。
これは、企業型確定拠出年金が、かつての厚生年金基金や確定給付型企業年金(DB)に置き換えるためのものとして生まれたという経緯も関係しています。
会社がそれまで支払っていた厚生年金基金などの掛金を、企業型確定拠出年金への拠出に置き換えることが考えられていたということです。
それなら、会社としては、企業型確定拠出年金の標準型を導入したとしても、もともと支払っていた金額の支払い先を変えるだけであり、追加の費用負担は生じません。