退職金は「いいスタッフのみ」に払っていた歯科医院…企業年金の導入で“事態が急転”【企業年金コンサルタントが解説】

退職金は「いいスタッフのみ」に払っていた歯科医院…企業年金の導入で“事態が急転”【企業年金コンサルタントが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業型確定拠出年金について、実際の経営者はどのような考えで導入し、どのような効果を感じているのでしょうか。歯科医院での事例について、企業年金コンサルタントの細川知宏氏が詳しく解説します。 ※プライバシー保護のため、細部は多少変更しています。

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退職金は「いいスタッフのみ」に支払っていた歯科医院

【事例】人材確保も視野に入れ確定拠出年金を導入したX医療法人

 

●業種:歯科医院

 

●従事者数:58名(短時間労働者を含む)

 

●現在の退職金制度:中小企業退職金共済制度(中退共)、選択制確定拠出年金、養老保険(退職一時金として

 

■もともと中退共と養老保険で退職給付金を準備していたX医療法人

 

A理事長が経営しているX医療法人は、2009年創業、2つの歯科医院を経営しており、従事者は約60名です。

 

もともとの退職金制度は、中小企業退職金共済制度(中退共)と退職一時金の資金手当のための養老保険(ハーフタックスプラン)の二本立てでした。中退共は勤続4年目、養老保険は6年目から加入することとしていました。

 

中退共については、一般スタッフは5000円(パートスタッフは3000円)、医師の場合は1万円からスタートして、掛金を毎年1000円ずつ増額する方式です。

 

また、養老保険については、一般スタッフは200万円、医師は300万円という上限を一律で設けて積み立て、退職時には、会社が受け取る満期金または解約返戻金を原資として、退職金を支払うシステムです。

 

さらに、特にパフォーマンスが高かったスタッフには別途、会社の剰余金から、退職一時金を支払っていました。ただし、この部分については感謝の気持ちを込めた特別ボーナスのような意味あいであり、退職金規定として制度化はしていないそうです。

 

規定を作成すると、経営状況にかかわらず支払いが義務化されるため、それを避けたかったからで、スタッフから聞かれれば「こういう形で支払う予定です」と答えてきたとのことです。

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※本連載は、細川知宏氏の著書『社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法

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細川 知宏

幻冬舎メディアコンサルティング

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