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「確定拠出年金は採用面で効果がある」理由
【事例】人材確保も視野に入れ確定拠出年金を導入したX医療法人
●業種:歯科医院
●従事者数:58名(短時間労働者を含む)
●現在の退職金制度:中小企業退職金共済制度(中退共)、選択制確定拠出年金、養老保険(退職一時金として)
企業型確定拠出年金の導入に成功し、A理事長はX医療法人の退職給付金制度全体の見直しを検討しています。
それは、現在、企業型確定拠出年金と中退共、養老保険の三本立てになっているものを整理するということです。資金効率や管理負担の低減を考えるなら、一つに絞るのが理想的ですが、A理事長は確定拠出年金と中退共の二本立てが現実的と考えています。
その第一の理由は、人材確保です。確定拠出年金は採用面で効果があります。しかし、応募者への聞き取りなど、いろいろ調べてみると、中退共にも加入していることが、いっそう効果を高めている可能性が分かったのです。それは、求人票に2つの制度が記載されていることで「より退職金制度が充実している印象を与える」ということなのです。
もう一つの理由は、確定拠出年金は拠出金の上限(X医療法人の場合は月額5万5000円)が決まっているためです。
「上限まで拠出している人が、さらにプラスアルファで老後資金を確保したいというとき、補完できる制度として中退共を付け加えておきたい」ということです。
また、確定拠出年金は選択制のため、中退共を続けるのには「全員加入」の制度を残すという意味合いもあります。選択制の確定拠出年金には加入しないスタッフにも、最低限の退職給付金を準備できます。