近年、「老後破産」や「下流老人」とう言葉をよく耳にするようになりました。定年後の暮らしに不安を抱く人は少なくないでしょう。「金持ち定年」になるか「貧乏定年」になるかの分かれ目は、リタイア前の準備にかかっています。これからどのように備えていけばよいのでしょうか? 資金計画を立てる第一歩として、まずは年金額から確認していきましょう。※本連載は、長尾 義弘氏、中島 典子氏の共著『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
リタイアしてから「老後の生活資金」を増やすのは困難
定年後のプランを思い描いたことがあるでしょうか。
60歳で完全にリタイアし、あとは悠々自適に暮らす。心機一転、新たに起業して一国一城の主になる。再雇用や再就職で、65歳までは働く。65歳といわず、働けるだけ働く。
あなたの未来には、さまざまな選択肢があります。
しかし、定年を迎えてから「さて、今後はどうしよう」と考え出したのでは遅すぎます。60歳以降の人生を成功させるかどうかは、それ以前に立てた入念な計画にかかっているといっても過言ではありません。
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定年後の生活設計において、「お金」は重要なキーワードです。世知辛い話に聞こえるかもしれませんが、暮らしていく上でお金が欠かせないのも事実。これから先のお金を考えることによって、定年後のイメージがより具体的に、そして現実的になってきます。
手持ちの老後資金と年金などの収入で、働かなくてもある程度は大丈夫なのか。もう少し働いたほうがいいのか。それとも、無理をしてでも働けるだけ働くべきなのか。
大切なのは、経済的な側面から見えてくる方向性です。老後資金に余裕がないとわかれば、再雇用や再就職といった選択も浮上するでしょう。
仮に生活費が300万円かかるとします。働かなければ、まるまる300万円が出ていくだけです。一方、働いて200万円の収入を得られたなら、支出は100万円ですみます。
3年間働いたとすると、家計の収支に600万円もの違いが出るわけです。この差は大きいですよね。60歳前より給料が下がったとしても、働くことで明らかに家計は助かることになるのです。
「せっかくのんびりできると思っていたのに…」と考えていた人には恐縮ですが、定年後にお金を増やすのはなかなか難しいといえます。老後資金が切羽つまってからでは対処法にも限りがあるのです。
NEO企画
代表
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな! 』(河出書房新社)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』『定年後の手続きガイド』など多数。
著者プロフィール詳細
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連載金持ち定年、貧乏定年~55歳から始める「得する準備」
広尾麻布相続センター
中島典子税理士事務所 代表
税理士、社会保険労務士、CFP
起業家の創業から税務会計・資産形成・相続事業承継までのトータルサポート業務、FP関連書等の執筆、講演、子どもからシニアまでの金融経済教育で活動。
著書『会社が知っておきたい補助金・助成金の活用ガイド』(大蔵財務協会)、共著に『いまからはじめる相続対策』(日本実業出版社)、『FP技能士2級AFP 問題集&テキスト』(成美堂出版)などがある。
【中島典子税理士事務所 中島財産コンサルティング:http://tax-money.jp】
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