(※写真はイメージです/PIXTA)

日本経済を支えてきた日本の鉄鋼業界は赤字体質にあり、今後縮小していくものと見られます。業界再編以上は待ったなしですが、一方で、「新たな可能性」も…。 ※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

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鉄鋼商品はコモディティ化、中国が過半を生産

金融やエネルギー・電力セクターのように、日本の産業の中核を担ってきた鉄鋼業界について、まず簡単な業界バックグラウンドから、解説していきたいと思います。

 

鉄鋼商品は基本的に一般化(コモディティ化)してきており市場動向はマクロの需給面で説明できます。世界における生産面は、1950年の189mtから2018年の1808mtと約70年で10倍弱になりました。国別でみると、足元は中国が市場の半分以上を生産しています(2018年は928.3mtで51.8%)。そして、全体の3割程度は生産国での消費ではなく、第三国へ輸出入されています。

 

鉄鋼会社別の生産で見ますと、細分化というかトップ10社で25%程度のシェアです。2018年ではまだアーセル・ミタルが1位にはいますが、2019年には中国勢に抜かれた模様です。

 

『宝武鋼鉄の粗鋼生産量は9522万トンと前年比41%増えた。19年9月に中国9位の馬鋼集団を子会社化した影響が大きい。一方、アルセロール・ミタルの生産量は8980万トンと7%減った。』※

 

※ 『再編で肥大化、中国・宝武鋼鉄が世界一 市場に懸念』https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58559700X20C20A4FFJ000/?fbclid=IwAR3vFGWA1h9VlfriiLZBy_Fb9GYXiCa94dOlOA2KY-Jo4SEsMXy-E3tj0OY

 

鉄鋼生産(所謂粗鋼生産)方法には大きく2通りあります。①が高炉型(BlastFurnace- 原料炭など粘着質の高い石炭で燃やした火に鉄鉱石を注入して、鉄を取り出し製鋼するやり方)、②が電炉型(ElectricFurnace- 鉄のスクラップを再度熱して製鋼するやり方)になります。ちなみに日本では年間約100+mtの粗鋼生産量がありますが、その75%近くが高炉型、残りが電炉型になります。

 

高炉型のメリットは下記のように言われています。

 

①大量生産が可能である


②生産コストが安価である


③鋼の厳密な結晶構造や成分調整が可能で、高品質な鋼が生産可能である。(特に自動車や船舶向けなど)

 

一方、デメリットは

 

①需給調整が難しく、大量の鋼を作りつづける必要あり


②顧客の海外生産化への対応が難しい


③多額の撤退コストが必要(高炉による一貫製鉄所の建設には兆円レベルのコスト)

 

電炉型のメリットは

 

①操業の自由度が高く電炉を止めて需給調整を行うことができる


②工場建設のコストが300億~1000億円程度と比較的安価である

 

デメリットは

 

① 原料の鉄スクラップには不純物が多く含まれ、低品質の鋼となりやすく、用途も建設用鋼材、構造用鋼に限定されやすい(高品質の鋼を生産できる電炉型の会社もありますし、その用途は高炉型のお客様と似ています)


②鉄スクラップが容易に入手可能でないと本手法を取ることが難しい

 

一方で消費面ですが、国別(2018年)でみると、生産側と同じく中国での消費が圧倒的に大きいです。鉄鋼の使用用途は、グローバルで見ると、建設やインフラ関係で半分強(51%)、そしてその後自動車(12%)、他の金属製品等々になっていきます。

 

ちなみに日本(2018年ベース)は100+mtの粗鋼生産に対して、国内消費量は65.4mtであり、一定程度のロスを加味しても、30mt程度は海外需要向け、と勘案できます。

 

 

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