コロナショックは健全経営されていた会社ほど経営インパクトを受けやすい。(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ自粛後、経済活動の再開が見られてはいますが、飲食店はさまざまなコロナ感染対策をしながら模索が続きます。一蘭の「味集中カウンター」はコロナ対策カウンターが話題になり、ビジネス拡大の追い風になっています。飲食店の二極化はさらに進むのか、国際投資アナリストが著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)で解説します。

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With・Withoutコロナの今後の流れ

この度の新型コロナウイルス感染拡大による直接的な変化とは必ずしも限らないものの、日本国内のみならず、一定程度世界的な動きとして、変化が見られていくであろう、いくつかのエリアについて紹介していきます。

 

■飲食業とノンアルコールの台頭(コロナ禍での負の影響と今後のインフレ可能性)

 

様々な事情が異なるという注釈付きではありますが、With コロナの新常態(ニューノーマル)への変化の一部で、インパクトを大きく受ける業種として飲食業があると思いますし、もしインフレが日本にちゃんと戻ってくるとしたら、飲食業界からなのでは? と思い、こちらのセクションに書いてみます。

 

2020年5月以降からのコロナ自粛後、経済活動の再開が見られてはいますが、日米共に飲食店や娯楽施設も、時間制限や様々なコロナ感染対策をしながら、徐々に営業再開となっており、コロナ前と比べれば、稼働率や客数などは戻っていない印象です。実際に一般社団法人日本フードサービス協会のデータによると、2020年6月の外食全体の売上は前年比78.1%であったそうです。

 

しかし内訳に差はあり、「ファーストフード業態」は88. 2%、「持ち帰り米飯・回転寿司」は、93. 1%と大きく回復して一方で、「居酒屋」は41.5%、「パブ・ビアホール」は34. 2%と前年比4割にも届かず、依然として壊滅的な状況が続いているようです。

 

そこで日米比較で面白いな、と感じたのが、ラスベガスなど米国の一部では、営業再開にあたり、それまでの営業停止に由来する財政的な補填や感染防止対策(マスクやフェイスシールド等)のコストもあり、従来のサービスに対するチップに加えて、コロナサーチャージという、更なる追加料金を徴収している、という点です。

 

日本では一部のホテルが、サービス費などを事前に明細に入れている場合もありますが、ほとんどの場合チップもないため、コロナ対策の費用を顧客に請求する、という考え方があまりないかもしれませんが、日本との比較では、目立つ点だな、と思いました。

 

一方で日本国内では、人気の一蘭ラーメンで使用されているような、皆同じ方向を向いて座り、個人ブースができるようにパーティションを置いてラーメンの味を楽しむ(所謂一蘭の「味集中カウンター」)といったやり方が、コロナ対策の先端をいっていた、という話題がありました。

 

そして一蘭はコロナショックの中でも、新店舗を出したりしているそうですので、味集中カウンターがコロナ対策カウンターでもあった、という点で同社のビジネス拡大の追い風になっているわけです。

 

価格のインフレ(最低賃金上昇などの労働コストや原材料コストによるもの)が一貫して見られてきたアメリカでは、コロナサーチャージという更なる課金のやり方について、不満があるものの、人々がインフレに慣れていることから、コロナ対策してくれるなら、と受け入れる人も多いような気がします。

 

対照的に日本では、もし一蘭のようにパーティションが様々な飲食店でき、フェイスシールドやマスクなどのコロナ対策をされているところが、コロナサーチャージとして消費税以外にもさらに10%など追加課金するとなると、かなりの反発が予想されます。

 

バブル崩壊後に日本はデフレを経験し、その考え方が染みついてしまうと、価格は横ばい、またはお客様感謝セールで価格が下がるのでは、と思うくらいになっています。日米間の経済政策(中央銀行の金融政策や政府の財政政策共)による影響と、ここ数十年の生活習慣の違いが価格に現れるのだな、と感じました。

 

しかしその日本の飲食業界で変化が見られそうな兆候があるそうです。With コロナ時代の新常態(ニューノーマル)として、飲食店では感染対策の一環として、間隔を空けるなど店内の席数減少がなされ、結果的にお店の損益分岐点上昇へとつながっているようです。

 

次ページ居酒屋が「ノンアルコール店」になる日

※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

最強の外資系資産運用術

最強の外資系資産運用術

後藤 康之

日本橋出版

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