(※写真はイメージです/PIXTA)

資源の少ない日本においてどのように電力を確保していくか。国際投資家アナリストの考察は。 ※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

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ベースロード電源は化石燃料発電が担う

日本のエネルギー政策について、言うまでもなく2011年の東日本大震災と福島県の原発事故は大きな分岐点となりました。

 

その後、固定価格買取制度(FIT)が導入され、経済的インセンティブが付与された形で、太陽光を始めとした再生可能エネルギーの普及が一定程度進みました。一方で従前の原子力発電が担っていたベースロード(基礎的な)電源の役割は、液化天然ガス(LNG)や石炭火力という化石燃料の発電に転換していきました。

 

これには、特に風力や太陽光等の再生可能エネルギーは必ずしも安定的に電源供給できない、という背景もあり、今後資源の少ない日本においてベースロード電源をどう確保していきますか?たとえLNGが足元安価になってきている、とはいえ、化石燃料を使用した発電を増やすのはやはり難しいのではないでしょうか?という疑問が出てきます。

 

加えて2020年7月3日に梶山経済産業大臣(当時)が、2018年に策定されたエネルギー基本計画における「非効率な石炭火力発電のフェードアウト」の具体的な施策を検討、という話から、2030年までに9割程度の非効率石炭火力発電の休廃止を目指す、と発表されました。発表自体には驚きはないものの、上記の問題点に加えて、2つほど疑問にも感じました。

 

①電力会社の経営へのインパクトで、石炭や原子力火力の発電比率が高かった発電会社ほど、このような施策からの負の影響が大きくなり、また石炭火力は多くの電力会社の収益源となっている発電源であることから、改修しながら今まで使ってきたことが今後できなくなるかも、という事態はあまり歓迎できにくい事項であること

 

②究極のところ、高効率と非効率の石炭火力発電のCO2排出量の差ですが、あまり大差?がない、というような話も聞かれ、高効率の石炭のみ残すという話はどうなのか、とも感じました。

 

 

 

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