(※写真はイメージです/PIXTA)

日本に上場している企業で注目される銘柄を取り上げて解説します。取り上げる銘柄は基本的に中長期保有を前提で選定されています。国際投資アナリストが注目する銘柄を、著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)で解説します。2020年9月末時点で上場している銘柄から選定。

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株式リサーチとその意義とは

私の社会人キャリアは、とある外資系証券会社で日本での個別上場株のリサーチ業務のジュニアとして始まりました。短期間(2.5年)ではあったものの、勉強できた各業界の動向や財務諸表の見方や考え方など、その後のキャリアの大きな基礎となったことは間違いなさそうです。しかし証券会社所属の株式リサーチのアナリストが、市場に何百人もいると同時に、どこまでお客さんから付加価値があると見られていたか、という疑問が当時自分にはありました。

 

その背景としてマクロの視点ですと、証券会社が機関投資家を中心に提供していた個別上場株に関するリサーチは、従来付加価値サービスの一環として提供され、同投資家が証券会社に支払う売買手数料の一部によってカバーされていると考えられていました。しかし証券会社間の競争激化と手数料の低下、そして新たな規制(MIFID2に代表される手数料のアンバンドリングなど、いくらリサーチに支払い、いくらは株式売買に支払う手数料か、を透明化する動き)の流れの中でもありました。

 

またミクロの視点だと、ネットやデジタル化の中で、個別企業が提供しているIR資料以外にも、個人投資家がよく使うサイトや資料(Yahoo Finance, みんかぶ、Quick リサーチなど)は多く存在し、そして無料提供している情報も多く、興味と時間のある方は個別に調べること自体が可能になっている、という変化にも気づいていました。

 

私はその後、株式リサーチ業務を離れて、異なる外資系金融機関(資産運用会社)へ転職するのですが、その中でも、これまで外資系証券会社で機関投資家向けに届けていた個別株リサーチを個人投資家向けに有料(毎月2千円程度)で提供する、という試みを2013年から始めたLongineというサービスに注目していました。

 

しかし2020年に同サービスが終了、サイト停止となりました。同サービスが停止してしまうことは悲しかった一方で、自分の中で疑問が残りました。それは投資に慣れていないと言われる日本の個人投資家が、もしかして短期的目線での売買等で必ずしもLongine等の有料サービスは必要なかったのかも、と仮定しても、一方どこまで中長期目線での、業界動向や企業の行動、並びに株価に代表される資産運用の仕方が浸透しているのかな、と思うと、かなり疑問やモヤモヤ感があったからです。

 

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※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本連載は、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本橋出版、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

最強の外資系資産運用術

最強の外資系資産運用術

後藤 康之

日本橋出版

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