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コロナ禍がライドシェア事業を崩壊させた
■移動(モビリティ)の変化
(ソフトの現地化に加えて、積極的な業態変化がないと、結局は縮小業界)
タクシーやライドシェアにみられる、自動車を介した移動(モビリティ)の変化について、依然として前途多難であるな、と感じており、それについて書いてみます。
日本では米・ウーバーが2014年8月にいち早く上陸したが、所謂ライドシェア、と言われるサービスは、原則白タク扱いに近く、ビジネスモデルとしては、あまり成功とはいっておりません。またウーバーは中国でも展開していたが、最終的には中国発の配車アプリ、滴滴出行(ディディ)と合併しました。
そして滴滴出行はDiDi モビリティジャパンを設立、日本でソフトバンクと一緒に進出し、中国からのインバウンドを中心にサービス拡大を狙っていたが、結局インバウンド利用も2割程度に留まっていたようで、このコロナ時代に突入し、インバウンド激減に加えて、国内での需要減退もあり、2020年7月から提供規模を縮小すると決定したようです。似たような形で中国から来たレンタサイクル事業も日本に数社進出してきましたが結局撤退、となっております。
足元は、既存タクシー業界への破壊的イノベーションであったアプリを使ったライドシェア自体、コロナ禍も加わり、本国である米国でも赤字事業から抜け出せていないようです。
例として、楽天が米ウーバーの競合である、米リフト社の筆頭株主であり、楽天の三木谷社長はリフト社の取締役も務め、2019年の同社上場後は、楽天側で上場評価益を計上し、金融商品(純投資)から持分法へ変更させ、シナジーを含めて国を超えた、今後の協業を期待していたようでした。
しかし結局のところ、2020年になり、コロナ禍でリフト社の経営不振や当初想定のシナジーが見込めない、ということから、同氏のリフト社での取締役退任と再度金融商品へと変更になり、また純投資、に逆戻りしたそうです。
また話が少しズレますが、中国の滴滴は国際展開として、オーストラリアやメキシコ、ブラジルなどに進出しているものの、現地企業との競争激化で思うように存在感を発揮できずにいるようです。このように中国発のライドシェア企業が直面した壁は2つある、と言われています。それは、①進出先の市場ニーズや規制を十分に踏まえずに、②中国での成功体験をそのまま海外に持ち込む姿勢、と言われています。