IMF、国際通貨基金は2021年の日本のGDP(実質国内総生産)の成長率見通しを、前回7月の予想から0.4ポイント下方修正し、プラス2.4%としました。長引く緊急事態宣言の影響を織り込んだ結果ですが、世界的に見て、日本の経済回復の遅れが指摘されています。しかし遅れているのは不況からの回復だけでしょうか。GDPから日本の現状を見ていきましょう。
GDP「韓国」の背中遠のく…世界から遅れる「日本」の厳し過ぎる惨状 (※写真はイメージです/PIXTA)

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名目GDPと実質GDP…何が違う?

よく耳にするGDP。なんとなく知っているが、実はよく分かっていない……という人も多いのでは。GDPは「Gross Domestic Product(国内総生産)の略」で、一定期間内に国内で新たに生み出された財やサービスの付加価値の総額を意味します。

 

さらにGDPには「名目GDP」と「実質GDP」があります。名目GDPは、GDPをその時の市場価格で評価したもの。一方、実質GDPは名目GDPから物価の変動の影響を差し引いたもの。

 

たとえば、下記のようなケーキ店があったとします。

 

1年目、ケーキ1個300円で販売

・1万個販売

・年間売上300万円

 

2年目、価格上昇に伴い ケーキ1個320円で販売

・1万5,000個販売

・年間売上480万円

 

ケーキ店の売上をGDPとして考えると、まず1年目を基準にすると、名目GDP、実質GDP、ともに300万円。2年目は、名目GDPは480万円になりますが、実質GDPは価格上昇分の20円を除いた価格で計算するので、450万円になります。

 

名目GDPは金額ベースの評価、実質GDPは数量ベースでの評価ということになり、たとえば経済成長を考える際には消費変動を見ていくため、実質GDPで評価することになります。

 

名目GDPを実質GDPで評価しなおす際に使われるのが、「GDPデフレーター」という指標で、「名目GDP÷実質GDP=GDPデフレーター」で求めることができます。つまり「実質GDP=名目GDP/GDPデフレーター」で求めることができるというわけです。

名目GDP「日本は世界第3位」というけれど…

「日本」は名目GDPで世界第3位(2020年)。長らく「米国」に次ぐ第2位の地位にありましたが、2009年「日本」が5,289,490百万米ドル、「中国」が5,088,990百万米ドルだったのが、翌2010年に「日本」5,759,070百万米ドル、「中国」が6,033,830百万米ドルと、「中国」が世界2位の経済大国に。当時1位「米国」との差は9,015,150百万米ドルありましたが、最新の2020年には7,032,000百万米ドルと縮まっています(関連記事:『【最新】世界「GDP」ランキング…名目GDP/購買力平価GDP』)。