(※画像はイメージです/PIXTA)

依存症は「誰でもかかり得る病気」で、「孤独」と密接な関係があるといいます。孤独によって依存症のリスクが高まるのであれば、孤独でなくなれば依存症が治る可能性も高まると和田氏は指摘します。依存症から脱出する方法とは。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

依存症から脱出のカギは「人」への依存

ところが依存症患者の脳では、この報酬系のプログラムが「いまの快楽に飛びついて、代替物で快楽を得てしまおう」というように書き換えられてしまうのです。

 

さらには、依存対象がもたらす刺激には脳が過敏に反応するのに、それ以外の行動には反応が鈍くなってしまうということもわかっています。

 

依存症の人がアルコールやギャンブル以外に楽しみを見出そうとしても、脳が反応してくれないので、よりいっそう依存行動から抜け出しにくくなってしまうというわけです。

 

■依存先を「人」にシフトする

 

日本では往々にして、「意思が弱いから依存症になるのだ」などと語られたりしますが、依存症に意思や性格は関係ありません。どんなに意思の強い人でもかかる可能性のある疾患です。しかも「意思がつぶされてしまう病気」ですから、一度かかってしまったら根治はなかなか難しい。もっとも重要なのは、依存症にかからないように予防しておくことです。

 

そのなかで、依存症の治療に一定の効果を上げているのが、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループです。

 

非常に興味深いのですが、依存症の治療で効果を上げるためには、依存対象を「人」へと移すことが肝要なのです。

 

もともとAAの発祥は、1935年、アメリカで1人のアルコホーリク(問題飲酒者)が別のアルコホーリクと出会い、それぞれの問題を語り合ったところからスタートしました。

 

つねにお酒を飲んでいないと気がすまなかった2人の人間が、お互いの経験を分かち合うその時間だけは、お酒を飲まずにいられた。そのことから自助グループとして世界的に広がっていきました。

 

つまりAAというのは、それまでアルコールという“モノ”や飲酒という“行為”に依存していたものを、“人”への依存に変化させる行為なのです。孤独によって依存症のリスクが高まるのであれば、孤独でなくなれば依存症が治る可能性も高まるというわけです。

 

そして、そのカギを握るものこそ、「人」への依存なのです。

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

孤独と上手につきあう9つの習慣

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和田 秀樹

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