
高齢の母親は、相続について早くから子どもたちと話し合い、遺産分割の内容を決定し、遺言書も用意していました。ところが、跡取りの長男に深刻な病気が発覚。場合によっては母親より先に亡くなる可能性もあるといいます。後々後悔しないため、母親と相続人たちはどのような対応をすべきでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
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遺産分割を決め、遺言書も用意し、準備万端のはずが…
今回の相談者は50代の瀬川さんご夫婦です。夫の瀬川さんは長男で、結婚後は両親と同居をしてきました。15年前に家を建て替えた際、建物は高齢の父親ではなく、瀬川さんがローンを借りて建てました。父親は10年前に亡くなりましたが、自宅が建つ土地は、父親の遺言書により母親名義となりました。
瀬川さん夫婦の2人の子どもはすでに独立したため、現在は母親と瀬川さん夫婦が同居している状況です。
専業主婦だった母親の財産は約1億2000万円で、先に亡くなった父親から相続したものです。内訳は自宅の土地が4000万円、預金が4000万円、株式1500万円、保険が1500万円です。
瀬川さんには妹が2人いますが、それぞれ遠方に嫁いでいます。そのため、母親は自宅の土地は同居の長男の瀬川さんに相続させる予定です。
嫁いだ妹2人には預金を半分ずつ、株式はその後の祭祀を承継する長男、保険は3人それぞれ500万円ずつ受け取れるようにしてあります。
母親は自筆で遺言書を作成しており、内容については瀬川さんも2人の妹たちも了承済みで、なにも問題はないかと思われました。
ところが、瀬川さんは会社の健康診断で問題を指摘され、精密検査の結果、深刻な病気であることが判明しました。
80代になる母親はいたって健康であり、瀬川さんは自分が先立つかもしれないと不安を抱えています。万一そのような事態になれば、母親が計画した遺産分割の計画では、うまくいかなくなるかもしれません。
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