チームでなければトップは狙えない理由
スコアが100を切るかどうかの人がパッティングコーチを付けてもあまり意味はありません。初心者に最適な指導者は、小学校の先生のように基本をすべて教えてくれるコーチでしょう。「1+1」を教わるのに、高校の数学の先生は必要ないのです。
ですが、トッププロともなると、難解な数式を解かなければなりません。必然的に専門性のあるコーチが必要となるわけです。
パッティングとショットという分野を見ても、教え方には物理と数学のような違いがあります。パッティングの場合、振り幅は小さく、運動というよりは物理現象に近い動作です。パターをどのようにボールに当てるかがパッティングにおけるティーチングでは重要視されます。
一方、ショットはフィジカルの要素がかなり強いので、パッティングとは行う動作が異なり、必要とされる技術が違うのです。
■一流プレーヤーのチーム構成と運営の現状
PGAツアーの一流選手は細分化された専門性を持つコーチを付けるのが一般的です。もはやPGAツアーで、チームでなければトップを狙うことは困難な世界だと言えるでしょう。
トッププロのチーム構成は、スイングコーチ、パッティングコーチ、フィジカルトレーナー、キャディー、マネージャーが基本です。加えてマネジメント会社が必ず参画しています。マネジメント会社はツアーの移動手段や宿泊施設の手配、取材対応などの広報活動、選手の肖像権管理やスポンサー契約などプレー以外の周辺の仕事を担当します。
一流スタッフを揃えようと思えば、当然ギャランティーは高額になります。契約内容によりますが、選手が賞金を得れば、そこから報酬も支払う必要があります。
PGAツアー選手の場合、100位以内だと年間の賞金は2億円をくだりません。これに加え、スポンサーからの収入もあります。PGAツアーのシード120位以内の選手にはほとんどスポンサーが付きます。だから、コーチへの“経費”をまかなうことが可能となります。