【関連記事】ゴミだらけの室内、借主とは連絡取れず…やむなく家財処分・鍵交換した貸主が「損害賠償」を支払わされた理由【弁護士が解説】
正常な営業できず…賃料減額・慰謝料請求は可能か
【店舗の賃借人からの相談】
私は美容室をやるためにビルの1階店舗を借りました。月の賃料は16万円です。しかし、店舗に入居した直後から度々店舗内で天井からの雨漏りや床に水が貯まるなどの漏水が発生しました。
ビルオーナーに報告し、その度にオーナーの方で応急措置のような工事をするのですが、一向に漏水は止まず、抜本的な対策を取るようお願いをしてもなかなか対応してくれませんでした。特に雨の日は漏水がひどく悪臭もしたりして、雨の日は予約を断る等の対応を余儀なくされました。
このような状態が長く続き、10年ほど経った頃に、ようやくオーナーが散水検査などの調査を行い、雨漏りの原因が判明し、その後は店舗内の漏水は止みました。
この間、正常に店舗を使用できなかったので、賃料は一部減額されて然るべきだったと思います。
また、雨漏りのせいで予約を断ったり、汚損部分の掃除をしなければいけなかったり、さらには、オーナーには長い間修繕を求めても十分に対応をしてくれない上、「嫌なら出ていけ」などと言われ、大変苦痛を被ったので慰謝料も請求したいです。このような訴えは認められるのでしょうか。
【説明】
本件は、東京地方裁判所平成26年10月9日判決の事例をモチーフにしたものです。この事案では、店舗の賃借人が賃借していた期間のうち、平成15年6月から平成25年5月まで、店舗内で漏水が生じていた、というものでした。
そのため、賃借人はオーナーに対して
1.漏水が生じていた期間の賃料の減額請求
2.雨漏りにより店舗内にカビが発生したこと等に対する修繕工事費用の請求
3.慰謝料請求
の3点を裁判で請求しました。
本件では、賃貸人が雨漏りに対して必要な修繕義務を怠っていたことは裁判所により認定されたため、上記2については、問題なく認められています。
もっとも、上記1と3については、本件に特有の争点であるため、この2点についてここで説明します。
注目のセミナー情報
【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術
【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術