嫌なら出ていけ!所有ビルの漏水・悪臭を10年放置したオーナーの末路【弁護士が事例解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自身が所有するビルで、漏水による悪臭が発生……ビルの一室で美容室を営むオーナーから「長年の漏水で正常に営業できなかった」と訴えられてしまいました。このケースにおいて、賃料減額や慰謝料は発生するのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際の裁判例をもとに解説します。※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

 

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正常な営業できず…賃料減額・慰謝料請求は可能か

【店舗の賃借人からの相談】

私は美容室をやるためにビルの1階店舗を借りました。月の賃料は16万円です。しかし、店舗に入居した直後から度々店舗内で天井からの雨漏りや床に水が貯まるなどの漏水が発生しました。

 

ビルオーナーに報告し、その度にオーナーの方で応急措置のような工事をするのですが、一向に漏水は止まず、抜本的な対策を取るようお願いをしてもなかなか対応してくれませんでした。特に雨の日は漏水がひどく悪臭もしたりして、雨の日は予約を断る等の対応を余儀なくされました。

 

このような状態が長く続き、10年ほど経った頃に、ようやくオーナーが散水検査などの調査を行い、雨漏りの原因が判明し、その後は店舗内の漏水は止みました。

 

この間、正常に店舗を使用できなかったので、賃料は一部減額されて然るべきだったと思います。

 

また、雨漏りのせいで予約を断ったり、汚損部分の掃除をしなければいけなかったり、さらには、オーナーには長い間修繕を求めても十分に対応をしてくれない上、「嫌なら出ていけ」などと言われ、大変苦痛を被ったので慰謝料も請求したいです。このような訴えは認められるのでしょうか。


【説明】

 

本件は、東京地方裁判所平成26年10月9日判決の事例をモチーフにしたものです。この事案では、店舗の賃借人が賃借していた期間のうち、平成15年6月から平成25年5月まで、店舗内で漏水が生じていた、というものでした。

 

そのため、賃借人はオーナーに対して

 

1.漏水が生じていた期間の賃料の減額請求

2.雨漏りにより店舗内にカビが発生したこと等に対する修繕工事費用の請求

3.慰謝料請求

 

の3点を裁判で請求しました。

 

本件では、賃貸人が雨漏りに対して必要な修繕義務を怠っていたことは裁判所により認定されたため、上記2については、問題なく認められています。

 

もっとも、上記1と3については、本件に特有の争点であるため、この2点についてここで説明します。

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こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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著者紹介

連載現役弁護士による「賃貸・不動産法律問題」サポート相談室

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