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独居高齢者…「徘徊」が始まりやっと認知症が明らかに
高齢化や核家族化が進んでいる日本社会で問題になっているのが、独居高齢者の増加です。家にひきこもりがちで地域とのつながりが薄い人も多く、健康状態に変化が生じても、周囲がなかなか気づかないために発見が遅くなりがちです。
日常生活に支障が出ていることが病気のサインになりますが、同居家族もおらず、周囲から孤立しているとそれも表面上分かりにくいものです。地域の民生委員や近所の住民、新聞配達員や宅配業者が異変に気づき、自治体の役所へ連絡が入って分かることもよくありますが、早期発見ができず、重篤な状態に至ってしまうケースが多いのも実情です。
認知症も例外ではありません。ゴミ屋敷になってしまっている、徘徊している、夜中に騒ぐなどの近所迷惑になってから周囲の知るところとなり、そこで初めて医療機関にかかっても、すでにかなり進行しており、その後の治療やケアが難航することが多々あります。
もちろん命あるうちに見つかり、受診につながったこと自体は良いのですが、もっと早期のうちに分かっていれば、本人も周囲も負担軽減になったはずです。
このような問題に対し、国の認知症施策の一つとして「認知症初期集中支援チーム」と呼ばれる組織があります。地域ごとに医師や保健師、行政など専門家から成るチームが配置され、独居等で受診に至っていない高齢者を居宅訪問するなどし、必要な医療や介護へつなげていく役割を担っています。
しかし1990年代にはまだそのような仕組みはなく、認知症も含め、病気が疑われる独居高齢者を医療や介護につなげるには、自治体ごとに工夫し早期発見の取り組みをするしかありませんでした。