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「税務職員との間で見解が割れやすい」ポイント
毎年7月、国税庁から最新の路線価が発表されていることは、テレビや新聞などでご存知の方も多いかと思います。路線価とは、土地の評価を行うため、実は多くの相続で利用されているものです。
路線価を利用した土地の評価は、その土地が接している道路の路線価にその土地の面積をかけたのち、それぞれの土地の利便性や形状、所在する区域などを考慮し、若干の補正をかけて行われます。
補正のかけ方には、非常に沢山のルールがあります。しかし意外ではありますが、税務調査で路線価による評価が問題視されることは多くありません。
補正率の違いは0.1、あるいは0.01といったレベルなので、突き詰めたところで生じる誤差が非常に少ないからです。せっかく調査にやってきた税務職員が貴重な時間を割いて、複雑な路線価の評価額から粗探しを始めるというのは、非効率な作業と言わざるを得ません。
それよりも税務調査のポイントになりやすいのは、路線価の評価額を特別なルールで減額している場合や、路線価以外の評価方法を利用している場合です。
たとえば、利用価値が低いものとしては、減額評価をしている土地があげられます。
近くに墓地がある土地、騒音のある土地、高低差のある土地、土砂災害警戒区域等に指定されている土地などを相続した場合、その土地の評価額は、通常よりも減額することが認められています。
しかしどこまで減額の対象にしてよいか、明確な基準はありません。
相続人としてはなるべく相続税を払いたくないため、めいっぱい減額をしたいですし、税務署としては納税額を多くしたいので、減額しすぎていないかを入念にチェックします。
明確な基準がないものに対して、お互いの思いが対立するわけですから、相続人と税務職員との間で見解が割れやすく、税務調査の論点となりやすいのです。