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脱税などしていなくても「追徴」されてしまうワケ
相続税の税務調査が行われると、およそ8割が税金を追徴されます。追徴される額は、2021年時点では平均して約600万円です。
もちろん、ほとんどの方は脱税などといった悪いことはしていません。それでも税務調査の対象になると、何かしらの間違いを発見されてしまうのです。
相続税の税務調査で間違いが発見されやすい理由には、相続税ならではの“計算方法”が挙げられます。
税務調査には、相続税の税務調査の他にも会社が払う法人税の税務調査などがあります。法人税や、個人事業主が払う所得税の場合、収入から経費を引いた額が正しければ、大きな間違いが生じることはほぼありません。もちろん専門知識は必要ですが、ルールが比較的はっきりしています。
これに対して相続税の税額は、財産の評価額から計算されます。したがって、この評価額の適正さが重要になってきます。
評価額には正解がないものもあります。もちろん「こうやって計算してください」という基本的なルールはあるのですが、それによって計算した結果が、かならずしも1通りにはならないのです。
たとえば土地の場合、路線価方式と呼ばれる計算方法があります。土地に接している道路がある場合、その道路につけられた価格をもとに、土地を評価する方法です。
もし、土地が正方形や長方形ばかりであれば、評価が分かれることはありません。しかし実際には、複雑な曲線で囲まれた、いびつな形をしている土地が沢山あります。いびつな土地を評価するとなると、専門家によって評価が分かれることが多くなります。税理士と税務署で見解が分かれる、ということもザラにあります。
さらに難しいのが、絵画など美術品の評価です。
絵画や骨董品などの評価は、売買実例価格や、その道に精通した人の意見などを参考にして評価します。この時点で1通りではないことがわかるかと思います。
相続人からみて価値があるとはわからなかった絵が、実は見る人が見たらすごく価値のあるものだった、という可能性もあります。通常ならとても嬉しい話ですが、これが税務調査でわかったら喜びは半減です。当然、その価値の分だけ相続財産が増えるため、相続税を追徴されることになります。
このように相続税の評価は、答えが何通りにも分かれるものが沢山あります。