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目標数字だけの経営計画を作っても失敗する
●心が動く経営計画
数値中心の経営計画を作っても、会社の成長にはつながりません。本当に求められるのは、経営理念をベースにして、目標となる経営ビジョンを掲げるような経営計画です。
その方法としては、まずは会社の経営理念を明確にし、社員の行動が一体になるような指針を立てます。次に、会社がどこに向かうかという経営ビジョンを打ち出し、会社の経営計画の大きな枠組みを作ります。そのあとで、経営ビジョン達成のための数値計画や、その目標数値の根拠となる見通しをまとめ、さまざまな主要施策を立案します。そしてその主要施策を、具体的な行動計画へとブレイクダウンしていくのです。
こうした経営計画を作成できれば、全社員がバラバラな行動を取ることなく、経営理念に合致した同じ道を歩むようになります。そして、全員が一丸となって、経営ビジョン達成に向かっていくでしょう。
「そんな複雑な経営計画を作るのは難しいんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、とても簡単な方法があるのです。
それが、「A4用紙一枚の経営計画」です。11の項目フレームを埋めていくことにより、本当に役に立つ経営計画書ができあがります。
その具体的な作り方と、計画の実行の仕方は、次章以降で述べていきます。まずは、A4用紙一枚の経営計画書を作成して、あなたの会社を変えていきましょう。
わかりやすい経営計画は、社員は本気で取り組むようになる。
具体的行動
A4用紙一枚で記載された項目をもとに作成してみよう。
ただ立てるだけでは意味がない。経営計画の失敗例
●経営計画の失敗
せっかく、経営計画を作成しても、次のような場合は経営計画の成果がでません。
1.経営計画の専門書から、経営計画のフォーマットをそのまま利用する。
経営計画については、専門書がたくさん出版されています。
その中から、自分で気に入った経営計画のフォームをそのまま利用して作成していることがあります。
著作権などの問題がなければ、自社で利用すること自体はいいと思います。しかし、書かれている経営計画の内容を十分に理解して、自社の規模や内容に適しているかをきちんと見極める必要があります。
そうしたものを十分理解しないで単純に利用しても、作る際に大変な作業時間がかかったり、中には難しくて途中で作成をあきらめてしまったりします。また、現実の経営と作成したものの内容が、かけはなれたものになりがちです。
経営計画は、基本的には誰でもわかる内容がよいと思います。身の丈に合ったもので、容易に作ることができ、企業が将来どの方向にいくのか金融機関が理解できるものを、作成することが必要です。
2.経営計画の作成をコンサルタントにすべて任せてしまう。
経営計画は作るのが大変だから、あるいは作り方がよくわからないからといって、コンサルタント会社に依頼してすべて作ってもらうことがあります。経営計画などを、どのような構成にするかと専門のコンサルタントに指導を仰ぐことは、よいと思います。
しかし、会社によっては、経営計画の作成をすべてコンサルタントに任せてしまう例が見られます。コンサルタントが会社を取り巻く外部環境を調査し、会社内で社長や幹部に現状と将来についてヒアリングします。そして、工場などの現場調査も行います。そうした調査の結果を踏まえて、会社の経営計画を作成します。費用をかけて専門のコンサルタントが作ったものですから、重厚なしっかりした経営計画ができています。
しかし、そうした経営計画は会社の人間が自分たちで作っていないので、経営計画の中味を十分理解しておらず、また他人事のような位置づけになっています。その結果、経営計画は、作ったことで終わってしまい、運用に至りません。
経営計画を単に他社の真似をしたり、専門家に任せては、社員のやる気は出ない。
具体的行動
経営計画は、自社の計画なので、自らの責任で作ることが大切だと考えよう。