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「一体型」の管理会社が募集の間口を狭めてしまう
「管理客付一体型」(以下「一体型」)の管理会社の最大の特徴は、その名前の通り、管理会社が賃貸仲介のために賃貸仲介店舗を持ち、自社(グループ会社も含む)で仲介(客付け)をすることです。
これによって、管理会社がオーナーさん側と利益相反の関係になってしまいますが、「一体型」の管理会社の問題はそれだけではありません。「入居者募集の間口が、基本的にはその会社だけ」に狭められてしまう点も大きな問題として挙げられます。
よくある例として、「空室期間が長くなるのだけれど、どうも自分のアパートには入居希望者を案内されている形跡がない」と相談に来られるオーナーさんがいらっしゃいます。その原因がこの管理システムにあります。
昔は1社のみで客付けしても満室にできる時代でした。しかし、現在および今後は、住宅が余る時代です。もうすでに、1社単独で満室にできる時代は終わっています。
ではなぜ、このような形態の賃貸管理会社が、現在でも業界の大勢を占めているのでしょうか。その原因は、賃貸住宅の歴史にあります。
わが国は、戦後長らくバブル崩壊後までの期間、住宅不足の時代が続きました。店頭に多くの入居希望者が列をなし、部屋を貸してくれと言ってくる状態でした。
これは例えるなら、東日本大震災後のスーパーに人が大挙して訪れ、我先にと水や食料を求めた状態と同じです。圧倒的に需要が供給を上回っているため、「売る」ための工夫は必要なかったのです。いわば特殊な市場と言えます。
こういった状態では、仲介(客付け)と管理という二つの相矛盾する立場が混在していても問題はありませんでした。問題が表面化してこなかったと言えます。
しかし、現在およびこれからのアパート経営は、何もしなくても入居者が入る時代ではありません。そこでは、管理の立場や役割の明確化が求められ、オーナーさんの利益になる仕組み、やり方が求められる時代になっているのです。
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