(※写真はイメージです/PIXTA)

保有するアパート・マンションを「管理客付一体型」の管理会社に一任しているオーナーも多いでしょう。とくに2代目オーナーは、親と同じ運営方法を深く考えずに選択しているかもしれません。親の代であれば、確かにこの方法は便利なシステムでした。しかし、近年の市況にはマッチしているとはいえないのです。専門家が分かりやすく解説します。

「一体型」の管理会社の、募集間口が狭くなる理由

では、なぜ「一体型」の管理会社では募集の間口が狭くなってしまうのかについて見ていきましょう。この仕組み自体に大きな矛盾が含まれています。図表2をご覧ください。

 

[図表2]

 

管理というオーナーさんの利益を優先する立場と、賃貸仲介という仲介手数料を求める(最大化する)二つの立場を、「一体型」の管理会社は同時に持ってしまっていることに原因があります。

 

管理とは、オーナーさんの代理として、オーナーさんの利益を最大化するために、より具体的には「満室にして家賃収入を最大化する」のが目的です。そのためには多くの仲介会社に依頼して募集の間口を広げることにより、少しでも多くの入居希望者を募ることが求められます。

 

例えて言うなら、管理会社はメーカーの役割であり、できるだけ多くの小売店に販促活動をして自社商品を売ってもらわなければいけない立場なのです。

 

当然ながら、オーナーさんにとっては、エイ○ルが紹介してきた入居希望者でも、ミニ○ニが紹介してきた入居希望者でも、入居審査をパスし、きちんと家賃を払ってくれる人でさえいれば、何も問題はないからです。問題は入居者がいないことであり、どこの会社が紹介した(空室を売った)かはまったく関係ありません。

 

しかし賃貸仲介の営業マンの立場はどうでしょうか?

 

彼らの目的は仲介手数料(売上)です。店舗を構えている以上、賃料等の固定費もかかりますので、店舗当たりの売上ノルマ、個人の売上ノルマがあるケースがほとんどです。

 

管理の立場を優先され他社に物件を紹介され、他社から仲介(客付け)をされてしまえば、仲介手数料は他社に入ってしまいます。客付け(賃貸仲介)の営業の立場からすると、それは困ったことです。そのため、できるだけ物件を他社には紹介せず、自社だけで囲ってしまおうということになります。そして図表3でいうところの仲介手数料については「両手」を取ろうとします。

 

[図表3]少ない報酬では、他の仲介会社からの客付けが見込めない

 

この仕組みは、店舗を持っているという構造上やむを得ないのです。

 

例えるなら、メーカーと販売店の関係に似ています。メーカーが販売店を自社で持ち、自社の販売店の売上を他の販売店との比較において最大化しようとした場合、他の販売店への販売促進ができなくなります。

 

これは、売上を最大化したいメーカーという立場と、店舗の売上を最大化したい販売店の立場という2つの異なった立場(目的)を抱えてしまうことによる矛盾です。

 

これが、「一体型」管理会社の大きな矛盾であり問題なのです。

 

管理会社の目的は、オーナーさんの利益を最大化することであると繰り返し述べていますが、賃貸仲介(客付け)店舗があるために仲介手数料(および広告料)を最大化するという目的が加わってしまうことによって、オーナーさんの利益を最大化するための行動がとれなくなってしまうのです。

 

 

大谷 義武
武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

 

太田 大作
武蔵コーポレーション株式会社 専務取締役

 

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※本記事は、『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

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大谷 義武,太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

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