マンション管理士など専門家を活用するケースも
近年は、組合員の高齢化やマンションの賃貸化が進み「役員のなり手」がなく、同じ組合員が長く理事長など役員を続けているマンションも珍しくなくなりました。
また、新しいマンションでは、働き盛りの年代の方が多く日中は忙しい仕事を担当しているため、自宅に帰って管理組合の業務を行うことや、土曜日や日曜日に理事会、管理組合の行事に出席する煩わしさを感じているのも事実でしょう。
役員の職務の軽減をはかる一つの方法として、マンション管理士等専門家を活用し、必要な指導、助言、援助等を受けることも考えられます。
さらに、役員資格者を組合員に限定している(標準管理規約35 条2項)ことが多いと思われますが、役員資格の範囲を組合員の配偶者または一親等の親族まで拡げるよう管理規約を改定して、役員の対象者を増やしている管理組合も最近増えています。
なお、急に「役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合に備えて、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると規約に規定することもできます」ので、こうしたこともご検討することも必要です。
建物に区分所有者が2人以上いればその建物は当然に区分所有建物となり、その区分所有者は管理組合員になります。それは、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」(区分所有法第三条)に規定されています。区分所有建物(分譲マンション)を所有すると管理組合のメンバーになるわけです。
要するにマンション管理組合に強制加入させられるということです。ですから、あの理事長が嫌いだからとか、あの規約が気に入らいないからいうことで管理組合を脱退することはできません。どうしても管理組合を脱退したいということであれば、そのマンション売却して区分所有者でなくなることです。
このようなマンションの組合員の立場を理解していない人やそれに気づいていない人が多いのが実情です。マンションを管理する主体は管理組合です。
管理組合は年に1回以上は総会を開いて、マンションに関する重要な取り決めを行い、皆さんの大切な管理費や修繕積立金が適正に支出されているかどうかをチェックしなければなりません。その仕組みをうまく機能させるためには、「自分の財産は自分で守る」という気持ちで全ての組合員が「他人事」ではなく「自分事」としてとらえることが求められます。
松本 洋
松本マンション管理士事務所 代表