年1回はマンション総会の開催義務がある
■総会の開催回数
総会は、年1回の開催が義務付けられています(区分所有法第34条2項)。したがって、標準管理規約第42条第3項では理事長は通常総会を毎年1回招集しなければならないと規定されています。
通常総会(定期総会)は少なくとも年1回開催して、収支決算、事業報告、収支予算及び事業計画について決議を経なければなりません(標準管理規約第48条1項1、2号、第58条1項)。
通常総会では、次期会計年度の収支予算の承認を得なければならないので、会計年度開始後、速やかに開催する必要があります。
また、収支決算についても、通常総会で報告しその承認を得なければならないので、通常総会の開催時期は会計年度が終了し、決算処理を行うのに要する日数を考慮して決める必要があります。
実務的には規約で、定期総会の時期を定めておくことも必要です。
標準管理規約では、第42条3項で「理事長は通常総会を毎年1回新年度開始以後2ヶ月以内に招集しなければならない。」と規定されています。
4項では、「理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。」と規定されています。管理標準管理指針では、管理組合の「標準的な対応」として新会計年度開始後2ヶ月以内に開催することとしています。
なお、総会の招集は理事長が行い、総会の議長も理事長が務めることになります。(標準管理規約第42条第3項、5項)
■議事録の作成と保管
総会の議事録の作成は大変重要なものです。このため総会議事録の作成についての相談数多く受けます。
議事録の作成期限は、法には明示されていません。
しかし、議事録は、これを保管し、利害関係人の閲覧に供さなくてはなりませんので(法42条5項:33条の規定を準用)、2週間を目途にできるだけ速やかに作成することが望ましいでしょう。議事録の保管期間については特に定められておりません。しかしながら、一般的に総会議事録などは規約変更に至った経緯や組合員の組合運営に影響を及ぼす事項が記載されている、大切な文書になりますので、永久に保管することが望ましいと考えます。
保管場所や紛失などに配慮して近年書類を電子媒体で保管している管理組合もあります。標準管理規約49条には「総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない」と規定されています。実際には、組合役員や管理会社のスタッフほかが議事録の素案を作成して、それを議長が精査・確認・加筆・訂正しさらにそれを清書した文書を正式な「総会議事録」としている管理組合も多くあります。
また、標準管理規約49条2項には「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない」と規定されています。議事の経過とは、開会、議題、議案、討議の内容、表決方法、閉会等を指します。また、要領の記載ですので、その内容を逐一記載する必要はなく、経過を要約して記載すれば足ります。
総会の質疑応答での質問者や回答者の部屋番号や氏名を議事録に載せることは必ずしも要件とされていません。
議事録の作成、記載方法について管理組合で協議して細則などを制定しておくことで『もめ事』の防止になるでしょう。
なお、総会の議事録は、作成を怠ったり、本来記載すべき事実を記載しなかったり、事実に反する記載をした場合は、20万円以下の過料に処されますので(法71条3号)、十分注意してください。