(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍だからこそ急成長、急拡大を続ける企業がある。 ※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

食物連鎖の頂点に立つ頂点捕食者は

未来を描いた映画には、ごく少数の邪悪な巨大企業に支配された暗黒のディストピアが人類を待ち構えていて、人々の生活が至るところでコントロールされているといったストーリーが少なくない。『ロボコップ』のオムニ・コンシューマ・プロダクツ社しかり、『エイリアン』のウェイランド・ユタニ社しかり、『ブレードランナー』のタイレル社しかり。こうした未来を牛耳る企業は、世界の中枢まで深く食い込んでいるだけに、超大国に活動を邪魔されることもない……。そんな筋書きだ。

 

パンデミック後の小売業界では、デジタル格差を飛び越えたその先で、こうした企業はもはや小説や映画だけの話ではなくなっている。つまり現実になっているのだ。

 

小売業者にとって、新型コロナウイルス感染症は隕石の衝突のようなものだった。100年に一度あるかないかの存亡の危機をもたらす出来事で、小売業界を覆う大気の化学組成まで変えてしまった。その結果、小売業界に生息していた多くの種が絶滅し、残った種による死に物狂いの適応行動が始まる。

 

もっとも、宇宙のビッグバン直後にも似たポストコロナという混沌とした状況から、これまでに見たこともないような新しい捕食者が誕生する。遺伝子の突然変異によって小売業界に生まれ落ちた新しい種で、天敵も外部からの脅威もない。自然界でこうした種は、食物連鎖の頂点に立つ捕食者(頂点捕食者)だ。小売りの世界では、アマゾン、アリババ、京東商城(JDドットコム)、ウォルマートと呼ばれる。

 

この4社を合わせると、年間売上高は約1兆ドルに達する。常連客の数は数十億人に及ぶ。地理的な境界も時間帯もカテゴリーの垣根も関係ない。ある1日の株価のわずかな変動だけでも、普通の大企業の時価総額と同じか、それ以上の額が動く【図】。

 

コロナ禍は、多くの小売業者にとって致命的だったが、頂点捕食者にとっては、それまでも今後も代謝ステロイドの静脈注射を打ち続けるようなものになる。この頂点捕食者たる怪物企業は、パンデミックでさらに大きく、さらに強く、そしてさらに大きな権力を持って浮上する。売り上げの最大80%を失って衰退する小売業者があるなか、一握りの巨大企業だけは思わず二度見してしまうほどの業績を上げていた。

 

唖然とするほどの成長率からもわかるように、パンデミックでこの4社はただただ大きくなるばかりだ。しかも飛躍的に。

 

【図】Amazon、アリババ、京東商城、ウォルマートの売上高

 

■コロナ禍すら成長の追い風にするアマゾン

 

アマゾンがエリート企業リスト、1兆ドルクラブに名を連ねたのは、2020年2月4日のことだ。アマゾンはその日の終値ベースで時価総額を1兆ドル台に乗せ、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)など1兆ドル企業と肩を並べることになり、現在、時価総額で世界最大の小売企業となっている。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各地でロックダウンが実施された初期段階で、『ガーディアン』紙は、アマゾンでの製品・サービスの購入に、1秒間に1万1000ドルが消費されていると報じた。つまり1日10億ドル弱である。実際、2020年第1四半期にアマゾンの売り上げは750億ドル増となった。つまり、アマゾンの前四半期に対する売り上げ増加分だけで、米大手量販店チェーン「ターゲット」の2019年の年間売上高にわずかに満たない額なのだ。これがどういう意味なのか、改めて考えてみよう。

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小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

ダグ・スティーブンス

プレジデント社

アフターコロナに生き残る店舗経営とは? 「アフターコロナ時代はますますアマゾンやアリババなどのメガ小売の独壇場となっていくだろう」 「その中で小売業者が生き残る方法は、消費者からの『10の問いかけ』に基づく『10の…

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