※画像はイメージです/PIXTA

マンションで容認されていたペット飼育に関し、「新たに禁止規約を設けたい」と考えるマンションの管理人。規約の改定は法的に認められるのか、そしてそもそもマンションでのペット飼育禁止は、法的に問題ではないのか。香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が解説します。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

冒頭のケースにおける可否は?

このケースにおいては、ペット飼育について従前管理規約は空白になっていましたが、新たに飼育禁止の管理規約の変更をしようとしています。

 

したがって、当該変更が「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすとき」にあたり、ペットを飼育中の区分所有者らから承諾を得なければならないのではないかが問題になります。

 

この点、ペットに関する苦情やトラブルが増加してきたとあるように具体的な問題が生じていますから、規約変更に関して合理性・必要性があるといえます。他方で、当該マンションでは、事実上飼育を容認してきたという事情があります。

 

加えて、近年ではペット飼育可とするマンションも増加していることも踏まえれば、ペット飼育が可能であるとの認識のもと区分所有を取得した区分所有者や、つい最近ペットを飼い始めた区分所有者もいる可能性があります。

 

そのため、これらの区分所有者に対しペットの飼育を全面禁止するというのは規約の合理性・必要性に比して受忍限度を超える不利益を及ぼす可能性が高いといえます。

 

したがって、本ケースにおいて、すでにペットを飼育している区分所有者らから承諾がなければペット飼育を全面禁止する規約は新設できず、上記のとおり、少なくとも経過措置等を設ける必要があるでしょう。

 

 

香川 希理

香川総合法律事務所 代表弁護士

※本文中の略記 法…建物の区分所有等に関する法律 最判…最高裁判所判決(決定) 高判…高等裁判所判決(決定) 地判…地方裁判所判決(決定) 民集…最高裁判所民事判例集・大審院民事判例集 判時…判例時報

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

【マンショントラブルの法的対応が、具体的な事例からわかる!】 専門性の高いマンション管理の法的トラブルは、意外な落とし穴が数多く存在します。 実務経験の豊富な著者が、初任者がつまずきやすい論点もやさしく解説。 …

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