※画像はイメージです/PIXTA

「ペット禁止」のマンションでペットが飼育されていた場合、どのような法的措置をとれるのでしょうか。また、そもそもペットの飼育を制限することは法的に問題ないのでしょうか。香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が、裁判例とともに解説します。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

「ペット禁止のマンションで…」判例をチェック

**********

当マンションでは、分譲以来現在に至るまで、管理規約においてペットの飼育は一律禁止されています。ところが最近入居してきた区分所有者が小型犬を飼っており、他の区分所有者から苦情が出ています。

 

ペットを飼っている区分所有者に対して、どのような措置がとれるでしょうか。

**********

 

ペット飼育行為が共同利益背反行為(法6条1項)として、区分所有法57条に基づく差止請求を行うことが考えられます。

 

この差止請求では、飼育行為の停止のほか、違法行為の結果の除去、予防措置等も請求できます。

 

東京地裁平成19年10月9日判決(判秘)では猫の多頭飼いで糞尿による悪臭被害をもたらした区分所有者に対し、飼育禁止、飼育中の猫の退去、糞尿の除去および防止措置請求が認められましたが、共同利益背反行為の停止等に必要かつ十分な範囲を超えるとして履行確認のための室内への立入請求は棄却されました。

 

この点、次に述べるとおり、ペット飼育禁止規定がある場合には、具体的損害やその蓋然性にかかわらず管理規約のペット飼育禁止条項に基づく差止請求を肯定する傾向にあるため、規約違反のペット飼育行為については、共同利益背反行為該当性が認められる可能性は高いといえます。

次ページ具体的に「とれる措置」を、過去の裁判例で確認

※本文中の略記 法…建物の区分所有等に関する法律 判秘…判例秘書 地判…地方裁判所判決(決定) 判時…判例時報

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

【マンショントラブルの法的対応が、具体的な事例からわかる!】 専門性の高いマンション管理の法的トラブルは、意外な落とし穴が数多く存在します。 実務経験の豊富な著者が、初任者がつまずきやすい論点もやさしく解説。 …

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録