(※写真はイメージです/PIXTA)

農業を営み、その後不動産賃貸業に転向した父が逝去。4人の子どもたちは生家を離れ、全員遠方で暮らしています。実家にひとり残る母親の生活を守りながら、きょうだい全員が平等に相続し、なおかつ節税も行うことは可能なのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

長男はアメリカ、二男は中国地方、三男は中部地方…

今回の相談者は、40代の公務員の岡田さんです。横浜市に暮らす父が亡くなり、相続手続きが必要になったとのことです。しかし、岡田家の子どもは4人は、いずれも実家から遠く離れた場所に暮らしています。長男にあたる岡田さんの兄はアメリカ、弟にあたる三男は中部地方、そして二男で相談者の岡田さんは中国地方在住です。末っ子の長女は静岡県に嫁いでいます。

 

このような状況から、高齢の母親や、アメリカに単身赴任中の長兄に代わり、岡田さんが相続手続きを主導することになりました。

 

岡田さんの父親は農業を営んでおり、広い畑を複数所有していましたが、市街化が進んで区画整理が行われ、現在は所有地のほとんどが宅地となりました。父親は生前から相続の心配をしており、数年前、農協の勧めで8世帯のアパートを建てたほか、それ以外にも複数の収益不動産を所有しています。

 

しかし、それだけではまだ不十分だと考えたのでしょう。銀行の相続セミナー等にも参加し、そこで相続税の予想額試算表を作成してもらっていました。試算表には、岡田さんの父親が所有する不動産の案内図をはじめ、公図や謄本といった書類が添えられており、相続手続きに必要な情報はだいたいそろっている状態でした。

財産のほとんどが不動産、節税の方法は?

几帳面な父親の周到な準備があったため、残された岡田さんきょうだいは財産の洗い出しや確認といった手間をかける必要もなく、スムーズに相続準備へと着手できました。また、岡田さんは父親の生前にそれらの書類を見せてもらっており、相続の大まかなイメージもつかめていたといいます。

 

岡田家の子どもたちは全員、就職や結婚などで実家を離れており、母親はまだ健在ですが、子どもたちと同居する意志はありません。そのため、きょうだい全員「跡を継ぐ」という意識はなく、相続時には法定通りの割合で遺産分割すればいいと考えていました。

 

岡田さんが筆者のもとを訪れたのは、資産構成を考えてのことでした。岡田家の資産は不動産に偏っているため、少しでも評価を下げたいとの希望があったのです。

 

岡田さんは父親が亡くなった当初、相続税の申告書作成等で頻繁なやり取りが発生しても楽なように、近所の税理士に依頼していました。話しやすく、親身に相談に乗ってくれるいい先生ですが、税理士の提案以外にもなにかいい選択肢があればと、セカンドオピニオン的な存在を探し、筆者のもとに訪れたとのことでした。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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