クリニック経営の父が急死…遺産分割協議の席にそっと座った、母違いの兄 (※写真はイメージです/PIXTA)

クリニックを経営していた両親が相次いで死去。両親の病院に勤務していた医師の兄妹が急ぎ承継しなければなりません。しかし父には、若いころにもうけた婚外子がひとりいました。法定通り婚外子に3分の1の遺産を渡せば、クリニックの経営が立ち行きません。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

医師限定メルマガ「GGO for Doctor」▶︎▶︎
 
【医師限定/参加特典付】1時間で不動産投資の“すべて”がわかるWEBセミナー

60代の若さで母が突然死、ショックを受けた父も倒れ…

今回の相談者は、父親のクリニックに勤務する、医師の佐藤さんです。両親が相次いで亡くなり相続が発生しましたが、会ったことのない腹違いの兄の存在があり、どう対応すべきか弱り果てているとのことでした。

 

佐藤さんの父親は代々続く医師の家系の出身なのだそうです。現在も本家は近畿地方で大きな総合病院を経営しています。しかし、本当はその総合病院の跡継ぎだった佐藤さんの父親は、病院経営の実権を握っていた祖父に勘当同然で家を追い出されてしまいました。

 

 

佐藤さんの父親は、実家の病院を追い出されたあと、大学の先輩の紹介で関東地方の総合病院の勤務医をしていました。それから数年後、佐藤さんの母親と出会って結婚。佐藤さんが生まれて間もなく勤務先から独立し、妻と二人三脚でクリニックを経営してきました。その後、妹が生まれました。

 

佐藤さんの妹も医師で、母校の大学病院で腕を磨いたあと、佐藤さんと同様に父親のクリニックで働いています。

 

ところが、父親とともにクリニックを切り盛りしてきた母親が、60代半ばで突然死してしまいました。経営のほとんどを母親任せにしていた父親は、ショックが大きかったのか、あっという間に体調を崩し、母親が亡くなってから半年後、後を追うように亡くなってしまったのです。

大病院の跡継ぎだった父親が生家を出奔した理由

じつは佐藤さんの父親は、母親と出会う前に、結婚しようと考えていた女性がいて、男の子もひとり生まれていました。戸籍上は佐藤さんの兄になります。祖父から追い出されたのも、この出来事が原因でした。祖父は相手の女性にまとまった金額のお金を渡して佐藤家と縁を切るよう迫り、女性はそのまま出身地へ帰郷してしまいました。

 

佐藤さんは大学時代に、酔っぱらった叔父からこの話を聞かされましたが、両親にいくら尋ねても、ふたりは一切を語りませんでした。

 

父の葬儀のあと、叔父に話を聞いたところ、理由は不明ですが、父親が結婚を考えていた女性のことを祖父がひどく嫌い、縁続きになることを許さなかったのだそうです。その後、父親は女性を探したそうですが、どうしても見つけられず、あきらめたというのが真相のようでした。

遺言書を残していなかった、几帳面な父

佐藤さん自身も、一度も会ったこともない兄であり、きょうだいという気持ちは持てません。とはいえ、戸籍謄本で確認すると確かに認知されており、れっきとした相続人のひとりなのです。法定割合では財産の3分の1の権利を有しているだけでなく、今回の父親の相続において、相続人の間で遺産分割の話し合いを持つ必要があります。

 

しかし、もし父親の遺言書があればその内容が優先されることになります。佐藤さんは几帳面な性格の父親なら、遺言書を残しているかもしれないと思い、貸金庫のなかや書類が入っていそうな場所をくまなく探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。

 

佐藤さんが心配していたのは、クリニックの今後のことでした。両親はあまり預貯金を残しておらず、もし会ったこともない兄に3分の1の遺産を渡してしまったら、クリニックの経営が続けられないのです。

 

佐藤さんは頭を抱え込み、相談先を探して筆者の事務所に訪れたのでした。

 

株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。

著書61冊累計53万部、TV・ラジオ出演125回、新聞・雑誌掲載699回、セミナー登壇567回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

著者紹介

連載相続実務士発!みんなが悩んでいる「相続問題」の実例

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧