店側に「嫌がらせ客」と決めつけられた男性の切なすぎる事情

飯田屋の閉店間際に飛び込んできたスーツ姿のサラリーマンが製菓用品コーナーで質問を連発してきました。「原産地は?」「材質は?」「ニッケルとクロムは?」…完全に嫌がらせだと思った6代目店主が知った真実とは。本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

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「原産地は?」「材質は?」質問を続けるサラリーマン

■二人目の神様はスーツ姿のサラリーマン

 

かっぱ橋道具街の夜は早く、ほとんどの店が17時ごろには店を閉めます。飯田屋は、ほかの店と比べると少しだけ遅くまで営業しています。

 

商店街が静けさに包まれはじめた夕暮れどき、スーツ姿の男性が汗だくで来店されました。息を切らして肩で呼吸しています。閉店時刻に間に合うよう走ってきたのでしょう。僕を目に留めると、神様は早口で言いました。

 

「ケーキ用の金型はありますか?」

 

製菓用品コーナーにご案内すると、神様は熱心に物色しはじめました。

 

気になる商品を手にとっては「生産地はどこ?」「材質は何?」と次々と質問をしてきます。基本情報は商品のラベルに書いてあったので、表示を見ながらアルミとステンレススチールと伝えました。

 

すると、お客様は急に呪文のような言葉を唱えはじめます。「これ、ニッケルとクロムが何%ずつ含まれているの?」と、素材の含有率を質問されるのです。

 

ニッケルって何? クロムって何?

 

しかも、それらは商品のパッケージには書かれていません。仕方がないのでメーカーに問い合わせて、お伝えしました。

 

やっと一つの質問に答えられたかと思うと、そこから地獄が始まりました。

 

「じゃあ、こっちの金属は何が混ざってるものなの?」
「生産地はどこでつくられているもの?」
「ここは、どんな商品をつくっている会社?」

 

お客様の質問は尽きません。しかも、そのお客様が求める答えは商品のラベルやカタログに書かれていないことばかりなのです。

 

困り果てた僕は「このお客様は、いったい何者なのだろう?」と疑問を抱きました。

 

店員をいびるために来店したとんでもない暇人か、もしくはものすごくこだわりを持つ有名なパティシエのどちらかだと思い、どこの店で働いているのかと尋ねました。

 

すると、「ケーキはまだ一度もつくったことがない」とお客様。

 

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株式会社飯田代表取締役社長

大正元年(1912年)に東京・かっぱ橋で創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」6代目。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」など多数のメディアで道具を伝える料理道具の伝道師としても活躍。自身が仕入れを行う道具は必ず前もって使ってみるという絶対的なポリシーを持ち、日々世界中の料理人を喜ばせるために活動している。監修書に『人生が変わる料理道具』(枻出版社)。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。

著者紹介

連載浅草かっぱ橋商店街で営業方針は「売るな」で大繁盛

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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