マンションの「防水不良によるトラブル」は数知れず…
2年前に新築マンションを購入したAさん夫妻は、ある日、部屋の模様替えをしようと壁につけていた本棚を動かしました。すると、壁と床の境目に何かあります。目を凝らして見てみると、驚くべきことに小さなキノコが生えていました。後ほど詳しく説明しますが、キノコが生えたのはマンションの防水不良が原因でした。
キノコが生えることは珍しいかもしれませんが、マンションの防水によるトラブルは決して珍しくはありません。この記事では、筆者が実際に目の当たりにしたマンションの防水不良によるトラブルについて説明します。
多くのマンションは、鉄筋コンクリートで建てられています。一般的に、コンクリートそのものは水に強いのですが、コンクリートのひび割れやつなぎ目から水が侵入し、内部の鉄筋に腐食が発生するので、鉄筋コンクリート造のマンションでも水による被害を受けることが多々あります。
■新築なのに壁からキノコ!
冒頭で紹介した、新築2年目で壁とクロスの隙間からキノコが生えていたAさんの部屋は角部屋です。キノコが生えていた壁は、隣の部屋ではなく外側に面していました。Aさんが確認すると、キノコが生えていた上にはエアコンの排管口があり、そこから下に向かってうっすらと黒ずんでいます。クロスを剥がすと、カビが生えていました。
■壁クロスの取れない汚れはカビ
このクロスのカビとキノコの原因は、エアコンの排管口とコンクリート壁の隙間がきちんと塞がれていなかったためでした。コンクリート自体に問題がなくても、隙間に入り込んだ水によってトラブルが発生することがある一例だといえます。
■何度貼り直しても剥がれる壁のクロス
次の事例は、築30年のマンションで起きたトラブルです。Bさんの部屋のリビングの壁のクロスが継ぎ目から剥がれました。何度貼り直しても頻繁に剥がれるため内装業者に見てもらうと、壁が湿気ているといわれたのです。
外側に面している壁ではないため、どこから水が染みているのかわかりません。よくよく調べた結果、Bさんの部屋は最上階だったため、屋上の防水加工が劣化して染み込んだ水が壁の中を伝っていることが判明しました。
■マンションなのに雨漏りが?
壁が湿気を帯びる程度ではなく、実際に雨漏りが起きた事例もあります。Cさんの部屋では、寝室の窓がある壁と天井のすきまから雨漏りがするようになりました。調べると、外壁のタイルの一部が剥がれて壁に大きな亀裂が入っており、雨が降るとそこから水が入って雨漏りしていたのです。築年数が古いとは言え、マンションでも雨漏りすることにCさんは驚いたといいます。