「簡単に受け止めることはできなかった」と話す長井紗良さん(仮名)

子宮頚管無力症により645gの超未熟児を出産した長井紗良さん(仮名)。障害を抱える娘を育てながらも小さく生んでしまった自分を責め続け、前向きになれない彼女を救ったのはとある医師の言葉でした。今回は、後悔や苦難とともに生きる決意をした彼女に話を聞きました。

先天性心疾患と難聴を抱えて生きていく娘

「ある日、夫婦で医師に呼ばれて言われたんです。『娘さんには先天性心疾患があります。おそらくそれ以外に聴力や視力にも障害が残るでしょう』と。…それは覚悟していたことでした。645gという超未熟児で生んで、生き延びているだけでも奇跡だと思っていましたから」

 

そう話す長井さんは―――しかし、暗くうつむいていました。

 

理香ちゃんはその後、1歳半と3歳で心臓の手術をしたそうです。さらには、2歳の時にやはり難聴を抱えていることも判明しました。

 

「次々と障害が分かって、その度に地獄に突き落とされるような思いでした。理香が生まれた時は、生きてさえいればいい、本当にそう思っていました。でも心臓病に続き、耳も聞こえないとわかった時、やはりそんなに簡単に受け止めることは私にはできなかったんですよね」

自分を責める日々と突如訪れた転機

その後も、すくすくと育つ理香ちゃんを横目に、小さく生んでしまったことと、障害をなかなか受け止められない自分に悩む日々が続いたそうです。

 

そして理香ちゃんが4歳になったある日、そんな長井さんに転機が訪れます。

 

「理香が生まれた時から診てくださっている医師の方に声を掛けられたんです。今度院内で、同じく障害を持つ子を抱える親同士の交流会があるから、出てみないかという誘いでした。私は前向きな話なんてできないし、場を暗くしてしまうだけだから出たくないと思いました。こんな自分と周りの親を比べて落ち込むのも、その時は耐えられないと思ったんです」

 

そう思いつつも、お世話になった医師の誘いを断ることができなかったと話す長井さん。
結局乗り気でないまま、その交流会に参加することになったそうです。

 

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