【関連記事】「心臓病の妹が羨ましかった」12歳で双子の妹を亡くした姉を救った医師の言葉
砂が手に付くだけでパニックになる娘
「『女の子なのに可哀想』と周囲に言われながら娘を育てました」
こう語るのは、自閉症の娘を持つ大迫環奈さん(仮名)、35歳。子どもがASDならではの苦悩をたくさん経験してきたと彼女はいいます。
ASD、いわゆる自閉症には様々な症状があり、
・こだわりが強い
・一人遊びが多い
・表情が乏しい
・発語の遅れ
などが挙げられるそう。
環奈さんの娘、茉莉花ちゃん(仮名)は、その中でも接触(感覚)過敏という症状が一番顕著だったといいます。
「数か月の頃から症状は出ていました。遊んでいても砂や水が手に付くだけで大泣きし、パニックになることが多々ありました。最初は、何がそんなに嫌なのか分からなくて、少し潔癖な子なのかな?くらいにしか思っていませんでした……。でも嫌がり方が尋常ではないので調べてみると、感覚過敏というものがあることを知り、これだと思いました」
感覚過敏の原因として、自閉症などの発達障害が隠れていることがあると知った環奈さん。
それが確信に変わったのは、娘さんのとある行動だったようです。
愛する娘との抱っこや手繋ぎができない
「これも1歳になる前からでしたが、娘は、手を繋いだり抱っこされたりすることを嫌がっていました。ハイハイであちこち行くので危ないと思い、抱き上げようものなら大泣き……。最初は行動を止められるのが嫌なのかと思っていましたが、そのうち触れられることが嫌なのだと気付いた時にはかなりのショックを受けました」
抱っこされたり、手を繋いだりと、普通なら子どもから求めてくるはずの行為を、拒否されてしまった環奈さんの衝撃は相当なものだったそう。
「親に触られたくない子どもなんているんだと驚きました。子どもはみんな『抱っこ』と手を伸ばしてくるものだと思っていましたから……。親なのに求められない、必要とされていない。それどころか拒否されている。そんな風に感じる瞬間が何度もあり、つらくて娘の前で泣いてしまうこともありました」