(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの大規模修繕工事は何年おきに行うべきなのか。一般的には「12年周期」で行うべきとされ、それを推奨する管理会社や工事会社も多い。実際、マンション管理組合や住民はどう考えるべきなのか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

資産価値維持には「点検・調査・診断」が必要

大規模修繕工事には、組合員全員の大切な修繕積立金を使って行いますので、できることならば節約を心がけて効率よく実施する必要があります。

 

そのためには長期修繕計画及び修繕積立金の額を、一定期間(5年程度)ごとに調査・診断を実施してその結果に基づいて見直しをすることが必要です。

 

国土交通省の平成30年度マンション総合調査では、大規模修繕工事の検討のきっかけは、「長期修繕計画に基づく」が54.7%と最も多くなっていて、その次が「管理会社が行う建物の定期診断結果報告」が25.0%となっています。

 

単棟型と団地型のマンションを比較すると、「長期修繕計画に基づく」が、単棟型が52.7%、団地型が63.4%で、団地型が多くなっています。

 

大規模修繕工事実施に当たっての建物・設備の調査・診断の本格的な実施では、全体では、「マンション管理業者に依頼した」が53・7%と最も多く、次いで「建築士事務所に依頼した」が17.6%、「調査・診断専門業者に依頼した」が12.9%となっています。

 

形態別では、団地型は、単棟型に比べ『マンション管理業者に依頼した』の割合が低く、『建築事務所に依頼した』『調査・診断専門業者に依頼した』の割合が高くなっています。

 

分譲マンションは、個人が所有する室内空間の専有部分と組合員全員が所有する共用部分で成り立っています。個人の所有である専有部分も共用部分があってこそ住まいとして個人資産として価値があります。どんなに専有部分が美しく保たれていても、共用部分の劣化が著しく進んでいれば、快適な住生活は得られないばかりではなく、住まいとして機能や価値も低下してしまいます。

 

大規模修繕工事の実施を適切に行うには日常的、定期的に行う『点検・調査・診断』はマンションに安心・快適に住み続けるために不可欠な行為です。それぞれの業務は専門家に依頼するとしても、マンションの管理の主体は管理組合です。

 

日頃から、居住者が共用部分の維持管理に興味を持って『自分の財産は自分で守る』という気持ちが大切です。

 

 

日頃から、「自分の財産は自分で守る」という気持ちが大切だという。(※画像はイメージです/PIXTA)
日頃から、「自分の財産は自分で守る」という気持ちが大切だという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■大規模修繕工事の周期はなぜ12年周期なのか

 

ほとんどマンシッョンの大規模修繕工事の周期が12年になっています。

 

12年の修繕周期の根拠はどこにあるのでしょうか。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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