会社が潰れる本当の原因は、赤字や債務でなく「資金不足」です。言い換えれば、手持ちのお金があれば潰れる可能性はほとんどないということ。金額の目安は「固定費の6ヵ月分」ですが、どの企業も簡単に用意できるわけではないでしょう。コロナ危機を乗り越えるための「資金繰りのコツ」を解説します。
借金の「完済」は考えなくていい
「借金は返さないといけないから」
借金アレルギーを持つ経営者はそう思うはず。
でも、本当に借金は返さないといけない? それは、そのとおり。踏み倒すことはできない。でも、返せばいい。返し続ければいい。
ただ返し終える必要はない。返済さえ滞らなければずっと借りていられる。
一定期間返済し、手持ちの現金が固定費の6ヵ月分を切ってきたら、また借りてもいいし、借り換えてもいい。
つまり、借金は返さないといけないけど、完済なんて考えなくていい。
そもそも、経営は借金と付き合っていくもの。貸借対照表を見れば、それが分かる。
貸借対照表は、右側が負債と純資産、左側が資産を表している【図表】。
負債の項目はどうなっているか。
流動負債は、買掛金、短期借入金、未払金などがある。これらはすべて借金。
短期借入金は借金そのものだし、未払金は誰かに払う予定のお金のことだから、現時点では、その誰かから借りていることになる。つまり、借金。
支払手形と買掛金も同様、取引先に払うお金であり、現時点では取引先から借金している状態。
科目は違ってもすべてどこからかの借金なのである。
買掛金をなくそう、すべて現金払いで仕入れようなんて考える経営者はいないはず。買掛金はOKで融資はダメというのは、理屈として成立しない。
重要なのは、借金を減らすことではなく、完済することでもない。借金という手段をうまく使って、現金を調達すること、減らさないこと。返すことより、借りることに目を向けること。
SMG税理士事務所 代表税理士
菅原由一(税理士・資金繰りコンサルタント)
SMGグループCEO/ SMG菅原経営株式会社 代表取締役/ 株式会社スガワラくん 取締役/SMG税理士事務所 代表 一家に一台AED推進委員会 会長
1975年、三重県生まれ。お客様の85%を黒字に導く節税と資金繰りの専門家。
元国税調査官の師匠からの学びにより、圧倒的に税務調査に強い税理士として知られ、税務調査立会い依頼が後を絶たない。
顧問先の黒字企業割合は90%以上を実現し、全国平均約30%を圧倒的に凌ぐ。
2022年12月に開設したYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』はチャンネル開設から2年で登録者数90万人を突破。ブログ 『脱!税理士 菅原のお金を増やす経営術!』は全国税理士ブログランキング第1位を獲得し、アメブロ【公式】トップブロガーに選任。
講演実績はGoogle、アパホテル、リコージャパン、ロバートキヨサキなど上場企業、外資系企業も含め1,000回を超え、各メディアからの取材も多数受ける。
書籍『究極の資金繰り』『激レア資金繰りテクニック50』(共に幻冬舎)は、累計3.7万部のベストセラーとなる。
2024年2月22日に『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』を発売。刊行から9か月で累計発行部数10万部を突破。
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