(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの大規模修繕工事は何年おきに行うべきなのか。一般的には「12年周期」で行うべきとされ、それを推奨する管理会社や工事会社も多い。実際、マンション管理組合や住民はどう考えるべきなのか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「設計監理方式」なら談合は防げるのか?

近年、マンションの大規模修繕工事等において、診断、設計、工事監理等を担う設計コンサルタントが技術資料を作成し、管理組合の意思決定をサポートする、いわゆる「設計監理方式」は、適切な情報を基に透明な形で施工会社の選定を進めていくためにも有効であるとされています。

 

しかしながら、テレビや新聞などで報道されておりますが、発注者たる管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタント、いわゆる不適切コンサルの存在が指摘されています。不正な工事や割高な費用などにより結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が発生していることから、国土交通省も注意喚起しています。

 

区分所有者、おひとりおひとりがマンション管理に意識を高く持つことによりこのような被害から免れて適切な価格で最高のコストパフォーマンスで大規模修繕工事を実施されることを望みます。

 

繰り返しになりますが、大規模修繕工事は新築工事と異なり住民が住みながら工事を行います。日常生活の場が工事の現場となり、バルコニー・共用廊下・階段の使用についても制限を受けることがあります。そのため居住者の日常生活に配慮した工事の進め方についても管理組合に求められます。

 

現在、多くのマンションが大規模修繕の適齢期を迎えているという。(※写真はイメージです/PIXTA)
現在、多くのマンションが大規模修繕の適齢期を迎えているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

■大規模修繕委員会

 

管理組合の理事が一年交替で入れ替わる可能性があるマンションでは、理事会の下部組織として『大規模修繕委員会』を設置することで、審議の継続性の確保が担保されます。

 

また、大規模修繕工事を実施する時期にその分野に詳しい人が必ずしも理事に就任しているとは限らないこと等の理由から、大規模修繕工事の実施に関する実務を円滑に進めるためには、興味のある人が他の管理組合業務に忙殺されることなく、継続的に従事することができることがメリットでしょう。

 

大規模修繕委員会の検討において、マンションの維持管理に関する専門家にアドバイスなどの支援を依頼することも検討を効率的に進めるために必要となります。

 

専門家から大規模修繕委員会への参加や相談などの支援を得やすくするためには、専門家の活用について管理規約に定めておくことが望まれます。

 

大規模修繕委員会の役割は、広義では、大規模修繕工事の実施に関する業務を担当し大規模修繕工事を円滑かつ適正に完了させるための重要な役割の一端を担っていると言えますが、その具体的な業務、役割は、大規模修繕工事に関する事項について理事会からの諮問に基づいて調査、検討し、その結果を答申することであり、理事会を補佐することにあります。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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