(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの大規模修繕工事は何年おきに行うべきなのか。一般的には「12年周期」で行うべきとされ、それを推奨する管理会社や工事会社も多い。実際、マンション管理組合や住民はどう考えるべきなのか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

どうして大規模修繕委員会を設置するのか

では、具体的にどのようにして大規模修繕委員会を設置すればいいのでしょうか。

 

構想~計画~工事実施まで、工事内容の調査、すべての区分所有者に情報を提供する透明性の確保、施工業者などの選定、注意喚起などが必要なので、2年~3年の時間を要します。加えてその内容は極めて専門的です。

 

標準管理規約第55条の専門委員会の規定を参考に考えてみましょう。

 

《マンション標準管理規約第55条及びコメント、解説》
(専門委員会の設置)
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。
【第55条コメント】
① 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
② 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加を求めることもできる

 

上記のように大規模修繕委員会の設置は、原則的には総会の決議は必要ありません。理事会決議で可能です。

 

しかしながら専門委員に報酬を支払う場合や、デジカメ、パソコン、書籍等を購入する費用が発生する場合は、大規模修繕委員会の設置に総会決議が必要です。また、大規模修繕委員会の役割や、その位置付けや業務範囲、委員会の運営方法等についての明確な取り決めがなされていないことからトラブルになることがあります。

 

ですから、その位置付けや業務の内容、委員会の運営方法等の重要な事項を取り決め、専門委員会運営細則を総会での承認を受けて制定することが重要と考えます。

 

ちなみに、平成30年度のマンション総合調査では、全体では専門委員会を「設置している」が27.3%、「設置していない」が70.5%となっています。

 

そのうち「大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会」が85.2%と最も多く、次いで「防災に関する委員会」が20.0%となっています。

 

完成年次別では、「設置している」は「昭和50年~昭和54年」が44.7%と最も高く、次いで「昭和55年 ~昭和59年」が38.3%となっている。 総戸数規模別では、総戸数規模が大きくなるほど「設置している」の割合が高くなっています。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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