自殺者の約10人に1人は「仕事が原因」…日本の「職場のストレス」の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

年々、仕事に強いストレスを感じる労働者が増えています。厚生労働省の「自殺の統計」によると、2019年の自殺者数は約2万人。同機は様々ですが、仕事の失敗や職場の人間関係、仕事の疲れなどの勤務問題を原因とする自殺は1949件と、およそ10人に1人が仕事のストレスが原因で自殺に追い込まれていることに…。産業医の筆者が、企業におけるメンタル不調の実態について解説します。

企業にとって「従業員のメンタルヘルス対策」は不可欠

厚生労働省では、従業員の安全と健康を守るための取り組みができるように「第13次労働災害防止計画」を策定しています。この計画では、2018年4月から2023年3月までの5年間で実施すべき主な内容が示されています。そのなかで、「職場におけるメンタルヘルス対策」が挙げられています。

 

実際にメンタルヘルス対策を進める上では、次のような3つの目標が示されているのです。

 

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[メンタルヘルス対策の3つの目標]

①仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上

②メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上

③ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上

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このような背景もあり、メンタルヘルス対策に取り組む企業は徐々に増えています。

 

厚生労働省の「職場における心の健康づくり」(図表1)によると、2016年時点で取り組んでいた企業は、56.6%でしたが、2017年には58.4%、2018年では59.2%となっています。約6割の企業が取り組みをしていることになります。

 

出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり」
[図表1]心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる事業所割合 出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり」

 

2018年時点で取り組んでいる企業を従業員の規模ごとに見ると、1000人以上では99.7%に達し、ほぼすべての企業が取り組んでいる状況です。

 

一方で小規模事業者でも半数以上が取り組みをしています。従業員30~49人では63.5%が、10~29人では51.6%の企業が取り組んでいます。

 

メンタルヘルス対策への取り組みは、企業にとってもはや不可欠な要素となりつつあるのです。

 

その背景には、経済・産業構造が変化する中で、仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスが強くなっていることが挙げられます。

 

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労働者の半数以上が「強いストレスを感じる」と回答

たとえば、厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、職場で強いストレスを感じている人は2018年時点で58%に達します。半数以上の人が強いストレスを感じていることになります。

 

この数値は2013年時点でも52.3%でしたから、以前から強いストレスを感じている人は、相当数に上っていたことになります。

 

さらに、強いストレスになっていると感じる事柄がある従業員がどんなことにストレスを感じているのか(主なもの3つ以内)を見ると、「仕事の質・量」が59.4%と最も多く、「仕事の失敗、責任の発生等」34.0%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」31.3%と続いています。

メンタル不調により「自殺に追い込まれる人」が増加中

また、仕事上のストレスで精神障害を発症したり、自殺したりしてしまうケースも増えています。厚生労働省の「過労死等の労災補償状況」を見ると、2019年度に精神障害で労災補償の支給決定(業務上と認定された件数)は509件でした(図表2)。2015年度は472件でしたから、徐々に増加していることが分かります。

 

出典:厚生労働省「過労死等の労災補償状況」
[図表2]精神障害の労災補償状況 出典:厚生労働省「過労死等の労災補償状況」

 

残念ながら自殺に追い込まれる従業員も相当数に上ります。2019年度の労災認定509件のうち、88件は自殺でした。

 

労災認定に至らなくても、仕事のストレスが原因で自殺に追い込まれる人は相当数いると考えられます。厚生労働省の「自殺の統計」を見ると、2019年の自殺者数は約2万人でした。

 

自殺の動機はさまざまですが、仕事の失敗や職場の人間関係、仕事の疲れなど勤務問題を原因とする自殺が2019年で1949件でした。

「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は8年連続トップ

従業員のメンタル不調の原因の一つとなるのが「職場でのいじめや嫌がらせ」です。厚生労働省の「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると「いじめ・嫌がらせ」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が8年連続トップとなりました。

 

「個別労働紛争解決制度」は、個々の従業員と企業との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度です。解決方法には「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

 

このうち「総合労働相談」の件数は、約119万件でした。これを相談の内容別の割合を見ると、いじめ・嫌がらせが25.5%でトップでした。このあとに自己都合退職11.7%、解雇10.1%と続きます。

 

このような状況を受けて、職場において積極的に心の健康の保持増進を図ることが重要になっていると考えられています。

 

 

富田 崇由

セイルズ産業医事務所

 

 

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セイルズ産業医事務所 医師

1978年生まれ、愛知県名古屋市出身。

2003年3月、浜松医科大学卒業。
2003年4月、名古屋第一赤十字病院にて研修。
2005年4月、同病院救命センタースタッフとして地域医療災害医療にも携わる。
2008年4月より複数の在宅クリニックにて在宅ホスピスに従事。
2014年11月、ナラティブクリニックみどり診療所開院(内科心療内科精神科)。
2016年4月、セイルズ産業医事務所開設。信念は「患者のストーリーに寄り添ってベストな治療方針を」。

2016年に産業医事務所を開設後は、会社を「小さなクリニック」にすべく小規模事業者にも産業医の必要性を訴えている。

著者紹介

連載なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

※本連載は、富田崇由氏の著書『なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

小規模事業者が頭を悩ます問題――深刻化する人材不足、それに追い打ちをかける社員の体調不良やメンタル不調…。「社員の病気」は会社の経営を脅かす。 小規模事業者にとっては、社員の一人ひとりが貴重な戦力だ。そんなな…

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