「従業員の健康」に投資しない会社がみすみす逃している恩恵【産業医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

近年、企業が従業員の健康をサポートする「健康経営」が話題となっています。とはいえ、従業員の健康管理にはお金がかかるもの。企業は実際にどれだけのメリットを享受できるのでしょうか。産業医として企業の健康管理に携わる筆者が解説します。

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健康経営の投資リターンは「投資額の3倍」と判明

企業が従業員の健康に取り組むことは、実際にさまざまなメリットがあることが確認されています。

 

経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」(2020年9月)によると、米国のヘルスケア企業「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)」では、75年前に作成された“Our Credo”で、全世界のグループ会社の従業員及びその家族の健康や幸福を大事にすることを表明しているそうです。

 

その結果として、同社では、健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになるとの調査結果を出しているといいます(図表1)。

 

※「儲かる『健康経営』最前線」ニューズウィーク誌2011年3月号を基に作成 出典:経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」(2020年9月)
[図表1]健康経営への投資に対するリターン ※「儲かる『健康経営』最前線」ニューズウィーク誌2011年3月号を基に作成
出典:経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」(2020年9月)

 

健康経営か否かによって離職率に約2倍の差

国内企業でも一定の効果が見られます。

 

健康経営を開始した年を「0」とした場合、5年前から5年後までの売上高営業利益率の業種相対スコア(業種内において健康経営を推進した企業の利益率が相対的に高いか低いかを把握する指数)の平均値を比較したところ、健康経営を開始する前の5年以内では、売上高営業利益率の業種相対スコアは負を示し、業種相対で利益率が低い状況であることを反映していました。

 

一方で、健康経営を開始したあとの5年間では、業種相対スコアは正の値を示す傾向にあったといいます。

 

また、離職率にも効果が見られます。2018年の全国の一般労働者の離職率は平均11.3%でしたが、「健康経営優良法人2020」に認定された企業では、5.1%と大幅に小さな値を示していました(図表2)。健康経営度の高い企業のほうが離職率は低い傾向にあるようです。

 

[図表2]健康経営をしている企業では離職率が低い

 

さらに、健康経営銘柄に選定された企業に反響を調査したところ、次のような社内外の反響があったといいます。

 

●学生の認知度が向上し、就活生が大幅に増加したり、内定後の辞退率が減ったりした。優秀な人材の確保につながっている。

 

●取引先やその他の企業から、高く評価してもらえた。取り組みに関する多数の問合せがある。

 

●投資家から「中長期的な成長が見込まれる」と高い評価をもらった。

 

●銘柄を取得した他企業との情報共有を通じ、他業種とのつながりのきっかけとなった。

では、なぜ日本で健康経営がうまくいかないのか?

ただし、小規模事業者(従業員20人以下。国内の企業数全体の約85%を占める)では健康経営への取り組みがなかなかうまくいっていないのも事実です。

 

小規模事業者の場合、現段階では、①積極的に取り組みたいと思っている、②取り組まなければいけないと思っている、③取り組むつもりはない、の3つに分かれます。

 

実際に取り組む際には、けんぽ組合に健康宣言をして、定期健康診断の受診率を上げるとか、ストレスチェックをするとか、相談窓口を設置する、日常の健康相談の窓口を設置するなどの取り組みをしていきます。

 

中には、健康管理ができるフィットネス系のアプリを導入する企業もあります。インストールすると、おすすめのフィットネスメニューが従業員に届くのですが、最初は開封しても1週間も経たないうちに開かなくなることもあります。

 

フィットネスクラブの利用券を配布する企業もありますが、仕事が忙しくて結局、行かないということもあります。

 

そんなこともあり、健康経営への取り組みはそれほどうまくいっていないのが現状です。

 

あるいは取り組んでいたとしても、健康経営に取り組むと助成金が受けられるケースもありますから、経営者の中にはそれが目的の場合もあるでしょう。

 

しかし、小規模事業者にとっては従業員の健康が、事業を支える要ともいえますから、何かが起きる前に取り組んでほしいと考えています。

 

 

富田 崇由

セイルズ産業医事務所

 

 

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セイルズ産業医事務所 医師

1978年生まれ、愛知県名古屋市出身。

2003年3月、浜松医科大学卒業。
2003年4月、名古屋第一赤十字病院にて研修。
2005年4月、同病院救命センタースタッフとして地域医療災害医療にも携わる。
2008年4月より複数の在宅クリニックにて在宅ホスピスに従事。
2014年11月、ナラティブクリニックみどり診療所開院(内科心療内科精神科)。
2016年4月、セイルズ産業医事務所開設。信念は「患者のストーリーに寄り添ってベストな治療方針を」。

2016年に産業医事務所を開設後は、会社を「小さなクリニック」にすべく小規模事業者にも産業医の必要性を訴えている。

著者紹介

連載なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

※本連載は、富田崇由氏の著書『なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

小規模事業者が頭を悩ます問題――深刻化する人材不足、それに追い打ちをかける社員の体調不良やメンタル不調…。「社員の病気」は会社の経営を脅かす。 小規模事業者にとっては、社員の一人ひとりが貴重な戦力だ。そんなな…

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