遺言書「全財産の3分の2を長男へ」に金融機関がすんなり対応できないワケ【行政書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

せっかく有効な遺言書を書いても、相続で裁判となる可能性があります。ここでは行政書士の山田和美氏が、太郎さんの遺言書を例に、相続争いを起こさない遺言書について解説します。※本連載は、書籍『「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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有効な書き方なのに「相続手続きができない」遺言書

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【遺言書】

遺言者は、遺言者の有する不動産、預貯金、有価証券等一切の財産のうち、3分の2を、遺言者の長男甲野一郎に相続させ、3分の1を、遺言者の二男甲野次郎に相続させる

 

XXXX年X月X日 甲野太郎 印

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※ 書き方としては認められているものなので「有効」と言えますが、この遺言書のみでは実際の相続手続きができず、遺産分割協議が必要になってしまいます。

 

【本記事のポイント】

●包括遺贈の場合、原則として遺産分割協議を必要とする

●記載の簡単さや形式面のみに着目せず、手続き時点の流れもきちんと想定する

「長男へ多めにのこしたい」割合以外で指定するには

太郎さんには2人の息子がいます。現在、太郎さんは長男一家と同居中で、二男は少し離れた地域で暮らしていることもあり、年に数回顔を見せる程度です。

 

ある日、太郎さんは相続での取り分は兄弟間で平等であることを知り、別の日に二男が、「今の法律では長男も二男も相続での取り分は同じ」と言っていたことも気になって、世話になっている長男に財産を多めにのこすため遺言書を作成しました。

 

遺言書で、渡す財産を指定するには2つの方法があります。

 

1つは「3分の1」「3分の2」など、財産を割合で指定する方法。このような書き方を「包括遺贈」と言います。もう1つは、財産を特定し、それぞれについて渡す相手を指定する書き方で、これを「特定遺贈」と言います[図表]。

 

[図表]包括遺贈とと特定遺贈の違い

「特定遺贈」の遺言書の書き方事例

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【遺言書】

遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男甲野一郎に相続させる。

 

一、土地

愛知県東海市XXX1丁目1番

宅地 150.00㎡

 

二、建物

愛知県東海市XXX1丁目1番地

家屋番号 1番

木造瓦葺2階建 居宅

床面積 1階100.00㎡

2階 80.00㎡

 

三、ABC銀行 東海支店の預金すべて(口座番号1234567の普通預金、口座番号1111111の定期預金等)

 

(以下省略)
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なごみ行政書士事務所・なごみ相続サポートセンター(愛知県東海市)所長 行政書士

1986年生まれ。愛知県稲沢市出身。
大学在学中に行政書士、CFP資格を取得。

大学卒業後、名南コンサルティングネットワーク内名南司法書士法人に入社し、相続手続きを専門的に担う部署に所属。
その後、名南税理士法人に転籍し、主に事業承継サポートを担当。

2014年に独立。なごみ行政書士事務所及びなごみ相続サポートセンターを開業。
相続案件や遺言作成サポート案件を中心に業務を受注し、相続セミナーやコンサルティングなどに積極的に取り組む。相続に関する相談件数は年平均100件超。

著者紹介

連載家族の「争いのもとになる遺言書」を書かないために

残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

山田 和美

日本実業出版社

昨今の終活ブーム、エンディングノートブームの影響で、 ・そもそも法律要件を満たしていないので効力がない ・遺族がもめやすい検討事項がまったく解決されていない ・相続税は抑制されたようだけど、これでは家族の溝を深…

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