子のいない夫婦「お互いのための遺言書」に問題あり
夫
【遺言公正証書】
第一条 次の財産を含む私の一切の財産は、私の妻 甲野尚子に相続させる。
1、土地
愛知県春日井市XXX一丁目一番
宅地 200.00㎡
2、建物
愛知県春日井市XXX一丁目一番地
家屋番号 1番 居宅
木造瓦葺二階建
床面積 一階 150.00㎡
二階 130.00㎡
3、預貯金
金融機関 X銀行 春日井支店
種類 普通預金
口座番号 1234567
妻
【遺言公正証書】
第一条 次の財産を含む私の一切の財産は、私の夫 甲野和夫に相続させる。
1、預貯金
金融機関 X銀行 春日井支店
種類 普通預金
口座番号 1234568
2、預貯金
金融機関 X銀行 春日井支店
種類 定期預金
口座番号 9999999
・
・
(省略)
・
・
* * * * *
※ 子のない夫婦が、お互いに全財産を相続させる遺言書を書いた場合、夫婦の「どちらか」は、必ず先に亡くなります。すると、のこされた側の書いた遺言書は実質的に意味をなさなくなってしまいます。
【本記事のポイント】
●夫婦のいずれもが亡くなったときの「夫婦の財産」をどうするか検討する必要あり
●兄弟姉妹や甥姪など、財産を託したい人がいれば事前に事情を話しておく
ほとんど交流のない兄弟や甥に財産が行っては困る!
この夫婦は、「自分が先に亡くなったら財産は自動的に配偶者にすべて行く」と思っていたそうです。
ところが新聞記事で、子のない夫婦の場合、相続人は配偶者と両親になること。両親が他界している場合は配偶者と兄弟姉妹が相続人になり、兄弟姉妹のなかに亡くなった人がいる場合はその兄弟姉妹の子である甥や姪まで相続権が移ることを知りました。
妻には2人の姉がいますが、両親の他界後、何十年も行き来がありません。
夫には兄と妹がいましたが、どちらも他界しています。甥(兄の長男)とは頻繁に行き来はありますが、もう1人の甥(兄の二男)は海外にいて音信がありません。妹には二度の結婚で計4人の子がいる話は聞いていましたが、詳しい状況は不明です。
このまま相続が起きたら大変と考え、公正証書で作成したのが前出の遺言書でした。