「相続が起きる順番」はわからない…万が一に備えて
【遺言公正証書】※
第一条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言者の長男 乙田信夫に相続させる。
1、土地
岐阜県岐阜市XXX1丁目1番
宅地 180.00㎡
2、建物
岐阜県岐阜市XXX1丁目1番地
家屋番号 1番 居宅
木造瓦葺平家建
床面積 100.00㎡
第二条 遺言者は、遺言者の有する次の財産を、遺言執行者にて換価させ、その換価金からまず金2,000万円を乙田信夫に相続させ、その余の全額を遺言者の二男 乙田良夫に相続させる。
1、A銀行岐阜支店の一切の預金(普通預金口座番号0000001、定期預金口座番号0000002等)
2 、B信用組合岐阜支店の一切の預金(普通預金口座番号0000003等)
第三条 本遺言の執行者として、行政書士 行政太郎 を指定する。
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(省略)
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(本旨外要件)
岐阜県岐阜市XXX1丁目1番地
職業 無職
乙田恵子
昭和8年12月31日生
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※ 遺言者の立場からすれば自分より先に子どもが亡くなることなど想像もしたくないかもしれませんが、「問題のない遺言書」をつくるには「万が一」に備えた記載が不可欠。次の候補者を定める「予備遺言」の条項を入れておきましょう。
【本記事のポイント】
●財産を渡す人が遺言者より先に亡くなると原則、渡すと記載されていた財産は「書かれていなかった」のと同じになる
●相続が起きる順番はわからない。予備遺言で万が一に備えたい
遺言書を作成した数年後、長男が不慮の事故で…
数年前に夫の遺産をすべて引き継いだ乙田恵子さんは、「終活」の一環として、専門家に相談し、公正証書で遺言書を作成することにしました。長男と二男の仲は良好とはいえず、争いになるのは確実だと考えたためです。恵子さんの想いとしては長男に全財産を渡したいところですが、遺留分にも配慮した内容で完成させました。
しかし、遺言書を作成した数年後、長男が不慮の事故で他界する事態が起こってしまったのです。