(※写真はイメージです/PIXTA)

「家賃滞納は普通の人が堕ちる破滅への入り口である。」……2500件以上の家賃滞納トラブルを解決してきた、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏。同氏は書籍『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)のなかで、その悲惨な実態を明かしている。

妻に隠し「家賃滞納」をくりかえしたワケ

消費者金融でお金を借りる、自分の人生で大きな一歩を踏み出したことで、タブーに対するタガが外れました。

 

自宅の家賃を滞納するようになったのです。支出の中でいちばん大きなウェートを占める家賃を払わなければ、金策はかなり楽になりました。その分を消費者金融の返済に回せたからです。

 

家賃の滞納は、消費者金融ほど督促が厳しくありません。1回だけのつもりが、翌月以降も払えませんでした。

 

独立してガンガン稼ぐ。そう思っていたのに、やっていることは消費者金融から借りたお金の返済に走り回るだけ。借金を仕事で返済するのではなく、借金で借金を返すというまさに自転車操業でした。

 

起業を反対していた理香さんには、正直に言えませんでした。

 

家賃を払わないことで自宅に督促状が届いた時も「行き違いかな、ちゃんと払っているから心配しなくていいよ」と言えば、理香さんは信じているようでした。

 

裁判所から届いた訴状は、幸運にも自宅で自分が受け取りました。送達場所を会社にしてくれるよう書面を出せば、それ以降の書類は会社に送られ、訴訟のことを妻に知られることはありません。

 

隠そうというより、一発大きな仕事が入れば、それですべてがクリアになる、そんな甘い思いで現実から目を背けていたのでしょう。けれども泣き叫ぶ理香さんからの電話で、一人さんのそんな甘い夢は儚くも崩れ去ったのです。

 

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家賃滞納という貧困

家賃滞納という貧困

太田垣 章子

ポプラ社

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