歴史が長くて種類が多い「米国リート」の例
米国リートは1960年から存在し、歴史が長く、時価総額では世界1位となっている(2021年7月19日時点で100兆円を超える市場規模)。一方、Jリートは2001年にスタートし、時価総額では世界2位となっているが、まだ20兆円には届かず、米国リートとの差は歴然としている。
◆種類・用途別
Jリートと比較して、米国には様々なリートが存在する。ここでは、4つを紹介する。
1.「通信塔リート」
電波塔などを保有・管理し、複数の無線事業者(テナント)に賃貸して収益を上げるリートのこと。
米国では電波塔を賃借することが一般的であり、通信会社が電波塔を自社保有・管理するケースが多い日本とは異なる。電波塔の賃貸契約は当初10年、その後は5年から7年ごとの契約などが多く、長期の契約となっている。途中解約は原則できず、また一般的に物価に連動して賃料を毎年調整している。
通信会社にとって電波塔は重要な基盤であり、別の電波塔運営会社に乗り換えることは基盤の安定性を損なう可能性があるため、契約更新が一般的となっている。追加コストの負担が少なく複数のテナントに賃貸が可能なため、通信塔リートにとっていかに複数のテナントと契約できるかが(収益のアップサイドの)ポイントといえる。
【通信塔リートの銘柄(一部)】
アメリカン・タワー(AMT)、クラウン・キャッスル・インターナショナル(CCI)、SBA・コミュニケーションズ(SBAC)
ちなみに、Jリートには現在、通信塔リートが存在しない。電波塔を通信のインフラと捉えるならば、東証にもインフラファンドが7銘柄上場しているが、現時点では太陽光発電関連インフラのみとなっている。
2.「データセンターリート」
データ保管やクラウド接続のためのネットワーク機器などが厳重に保護された倉庫施設をテナントに賃貸して収益を上げるリートのこと。
データセンターの建設には、冷房設備や発電機、配線接続など多額の投資費用がかかる。設備や運営における専門性の高さに加え、自社での建設や移転にかかるコストが大きいため、長期契約が一般的である。
データセンターの賃貸契約は、大規模テナント向けで5年から10年程度、中小規模テナント向けで3年から5年程度となっている。データセンターの賃貸借契約は床面積に加え、電力消費量などを基準としており、固定ではなく賃料の引き上げが毎年可能になっている。
【データセンターリートの銘柄(一部)】
エクイニクス(EQIX)、デジタル・リアルティ・トラスト(DLR)、サイラスワン(CONE)
ちなみに、Jリートには現在、データセンターをメインにしたリートはなく、たとえば、産業ファンド投資法人(3249)や三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)などが、ポートフォリオの一部にデータセンターを入れているのが現状である。
なお、データセンターリートは、先ほどの通信塔リートとともに「デジタル・ハイテクリート」と呼ばれることもあり、キャピタルゲイン狙いの個人投資家の人気が高い。
3.「森林リート」
様々な森林地を購入・保有・管理し、育てた木材を伐採し、売却した利益を分配するリートのこと。
4.「刑務所リート」
刑務所を保有・運営し、州などの自治体に貸し出して収益を上げるリートのこと。
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